風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年1月21日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

子どもたちには『♪げんこつ山のたぬきさん』の歌に合わせて12回跳べたら“跳べた”ことにしようと伝え、それぞれのなわとびを見守っています。そんな中……。
「もう! なんでよっ!」
1人、怒り泣きをしているのは慶士くん。
慶士くんは早跳び(1拍跳び)に挑戦しているのですが、肩がぐるぐる回らず、手首で回しているため、長く跳び続けることができないのです。途中でひっかかる姿が続きます。それでもがむしゃらに跳び続けるため、しばらくそのまま見ていることに。
ひっかかるたびに聞こえてくる、「もう~っ!!」 「何でだよっ!」の声。そして涙。
「ねぇ、慶士くん。慶士くんは、肩がぐるぐる回ってないんだよ。ひじを伸ばしてごらん」
そう声をかけて跳ばせてみると、先ほどよりもひじが伸びて楽に跳べるようになった様子。
「本当だ」と、今までと何かが違うことに慶士くん自身も目を大きくします。
                                                               鳥1組 学級通信 「おおばこ」より

 前回に引き続き「なわとび」の後編をお届けする。前編では「悔しい」思いからスタートすることで『プラス思考』が育っていくことを紹介した。もちろん、これはその問題を乗り越えるという成功体験がセットになって育っていくわけだが、冒頭のエピソードはその一歩手前の段階の記録である。今回は、子どもたちはどのようにしてその問題を乗り越えるのか? を詳細に見ていこう。

伝える技術があれば人生は豊かになる

 やる気は満々だが結果はなかなかついてこない。このような場合は行動を分析し「どこに問題があるのか」を発見する必要があるのだが、自分自身の問題点を自分で発見することは意外と難しく、他者からのアドバイスが大きな役割を果たすことが多い。

先生が一人ひとりに合わせた指導を行う。

 「なわとび」のカリキュラムにおいては、開始間もない時期にまずは先生が数人の子どもにアドバイスをおくる。肩を回し、ひじを伸ばすことを指導することで数名の子どもが跳べるようになる。するとその子どもたちは、自分たちも「できない」「悔しい」という思いからスタートしているだけに、「なんとか跳べるようになってほしい」という気持ちを込めて仲間にアドバイスをおくり始めるのである。そして、このアドバイスをする役目を経験することで、子どもたちは大切なことを学ぶ。再び学級通信を見てみよう。

美緒子  「どうしたの?」
翔太  「泣いてたら跳べないよ」
瑞稀  「跳べなくって悔しいの?」
咲也香  「うっうっ……(うなずく)」
朋紀  「朋紀もまだ跳べないよ」
睦  「はじめはみんな跳べないんだよ。でもケンパー組(「ゆうびん屋さん」がきれいに跳べた人)の人は、いっぱい頑張ったんだよ」

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