世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年8月10日

 アフガン駐留米軍の撤退計画をオバマが見直したことにつき、ワシントン・ポスト紙の7月6日付社説が、これを高く評価するとともに、クリントンとトランプはアフガンについてどうするつもりなのかはっきりすべきである、と言っています。要旨、次の通り。

遺産に固執しなかったオバマ

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 オバマは、4年前の再選を目指す選挙運動で、米にとり「戦争の潮流は退きつつある」と主張したが、7月6日、その潮流が戻ってきた現実をついに認めた。オバマはかつて、2017年1月までに少数の米兵を除いてアフガンから撤退させることを熱望していた。しかし今回、8400人(秋には5500人にするとしていた)を遺産として残すことにした。立場の変更は、タリバンによる不安定の増大を含むアフガン情勢はさらなる撤退を正当化し得ないとのペンタゴンとNATO同盟国の主張を受けたものである。オバマは、遺産として望んだことに固執するのではなく、彼らの助言を受け入れた。称賛に値する。

 部隊の拡大は、オバマが説明した通り、3つの重要な結果をもたらす。第一に、米軍は、アフガン軍のタリバンに対する抵抗力を強化し続けることができる。タリバンは、昨年、政府軍に多大な犠牲を強いながら、いくつかの領域を獲得した。米軍が駐留するアフガンの東と西にある2つの重要な基地は、閉鎖されずに残る。米の約束は、米軍以外に6000人の兵士を送り込んでいるNATO率いる41カ国の有志連合による軍事的関与の拡大にも道を開くことになろう。ワルシャワでのNATOサミットでは、有志連合からアフガン軍への2020年までの資金提供の約束が期待される。

 さらに決定は、オバマが指摘する通り、タリバンに「この紛争を終わらせて外国軍を撤退させる唯一の道は、永続的な政治的解決を通じて以外にない」と認めさせることになる。かつて、オバマの米軍撤退のタイムテーブルは、タリバンの指導者に、米軍の撤退によりカブール政府が崩壊するのを待てばよい、と期待させたはずである。今や、米とNATOの新たなコミットメントにより、ガニ大統領は、和平交渉を開始する力を得たかもしれない。

 最後に、オバマの動きは、後任大統領に比較的安定した軍事状況を引き継ぎ、米の対アフガン関与についての自らの判断を下すことを可能にさせるだろう。ヒラリー・クリントンはアフガンについてほとんど何も語っていない。他方、トランプは自己矛盾している。両人とも11月までに、就任したならばどうするのか、説明しなければならない。

 オバマは、2300人の死者を含む、アフガンにおける15年間の米の投資と犠牲を、任期中に破滅的な終わらせ方をしないための、最小限のことは実施した。後任の大統領は、オバマの恣意的な撤退タイムテーブルの設定という誤り、そして、それを改めた政治的勇気の双方から学んで然るべきである。

出典:‘Mr. Obama makes the right call in his final commitment to Afghanistan’(Washington Post, July 6, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/a-final-commitment-to-afghanistan/2016/07/06/6b83c14c-43a0-11e6-bc99-7d269f8719b1_story.html

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