したたか者の流儀

2016年9月4日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 オリンピックも終わり、今パリの話題は新学期。新学期というより新学年だ。学校に掲示が張られた学用品を買うことになる。カルターブルというカバンは40ユーロくらいなので、日本のランドセルと比較すれば安いものだ。費用は全部で200ユーロ前後だろう。つつましい。10万円のランドセルを用意する日本のジジババの話はそのうちフィガロあたりが書いて笑いものにするだろう。フランスのテレビ・新聞は新学期ネタで持ち切りだが、毎年繰り返す暇ネタでもある。

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観光産業の苦難と大統領選

 本当のネタは、観光産業の苦難と来年の大統領選のことだろう。この二つは関係ないように見える。しかし。パリの多発テロとニースの暴走トラックで世界中に赤信号を送ってしまった。パリの日本人ガイドも困り切っていると聞いた。夏は日本人観光客相手のビジネスは書き入れ時だ。例年8月末は、遅出の観光客とバカンスから戻ったパリジャンが口直しに美味しいものをもとめて街に繰り出すシーズンだ。ホテルもカフェもレストランも満員になる。

 今年はといえば、有名カフェのテラス席は閑古鳥だ。デゥマゴーのテラスに座ってみたが、やはり怖い気がした。バンが止まると機関銃をもった男が飛びだすのではないかと緊張が走る。普段付き合いもあまりない友人も自慢げにパリにいるとFBで知らせると、“酔狂なことだね、テロに気を付けて。”という返答が来る。

 確率的に考えれば、パリで事件に巻き込まれることはゼロに等しいと確信し気持ちのいいテラス席に陣取る。とはいえ、動きのおかしいトラックを凝視するが、散水車だったりする。

 天気はよく、日も長い。9時でも日はある。観光客は少ないというより消えていない。そもそも、テロの前は不要不急の旅でパリに来るひとが多かったのだ。加えて、ビジネスに託つけてフランスにやってきて、おいしいワインの一つでも飲もうという魂胆のビジネスマンもいた。日本人だけではない、中国人、韓国人にもその手の輩がたくさんいた。英米人にもいた。われらも大阪出張と言われれば、京都が絡むように算段するのと同じだ。

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