したたか者の流儀

2016年7月29日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 2011年にオサマビンラーディンが、パキスタンのアジトで米国海軍特殊部隊の奇襲で殺害された。よその国に突然米軍の軍事行動がなされたことは驚きだが、襲撃の一部始終がホワイトハウスにライブで中継されていたと聞いてさらに驚いた。住処の特定を含めてITCの成果であろう。

 同様なことが、ジミー・カーター時代の35年前に、ホメイニ革命下のテヘランでアメリカ大使館人質救出作戦として行われた。こちらの作戦は失敗。原因はヘリコプターの単純な部品の不備であったそうだ。さらに悪いことに、パーレビ時代の名残でアメリカ製の同型機を使っていたイラン軍は、米軍が乗り捨てた多数の軍用ヘリを長らく部品取りに供していたそうだ。ただの負けではなく、敵に塩まで送ってしまった。

 ベトナムの失敗から自信を失った米国は進退窮まったのであろう。

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 同じころ第一、第二次オイルショックでのオイル高騰を逆手に取って、低燃費車の輸出を中心とした日本の成功は目を見張るものがあった。この成功は1980年代後半にバブルとなった。あのバブルはオンリーイエスタデーに思えるが既に四半世紀たっている。

 成功と発展の過程で、日本の企業は、歴史観を持って自己分析をすることを忘れ、グローバルスタンダードを持ち込めばさらに高いステージに立てると思ったのであろう。80年代に日本企業が持っていた日本的経営をすべて捨て去ってしまった。列挙すれば、年功序列、生涯雇用、御用組合、保養所、社内運動会、社内結婚が一つ一つ消えていった。

MBAで日本も米国並みになれる?

 これは多分にジョークだと思うが、米国は日本の成功を分析して曰く“米国にあって日本にないものを検証したらMBAと出たので、日本人にMBAを山ほど与えれば日本も米国並となろう。”結果は事実となった。グローバルスタンダードの美名で日本的経営を一つ一つ破壊し、すべて破壊が終わったころになってノーベル賞経済学者ゲーリー・ベッカーあたりまで生涯雇用など日本的経営礼賛をはじめた。しかし、既に時遅しで40%の非正規雇用でやっと回る経済となってしまい、もう戻らない。大企業にはMBAがあふれかえっている。

 とはいえ幸か不幸か資本市場の方はいまだに日本的だ。たとえば、何かとお騒がせの東芝の株主総会は、国技館で行われている。その際参加者に焼き鳥弁当が振る舞われていて好人気であった。今回の決算操作問題発覚をうけて、弁当はなくなったが、この事実の周知徹底も大変であったようだ。なんせ、決算はどうでもいいが弁当がうれしい株主も多かったから。「弁当食いたい」資本主義なのだろうか。弁当無しの今年、会計不正問題があるにもかかわらず出席数は例年の半分となった。

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