世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年10月12日

 豪州国立大学名誉教授のポール・ディブが、9月6日付のオーストラリアン紙で、中国マネーと中国人コミュニティーの存在について警告する一文を書いています。要旨は次の通りです。

中国人コミュニティによる深刻な影響

iStock

 豪州に対する中国の投資と豪州における大きな中国人コミュニティの存在が中国の影響力に関して深刻な問題を提起している。

 豪州における中国の投資の累積額は英国、米国、日本に遠く及ばない。しかし、中国の投資の焦点と速度が安全保障上の懸念を惹起する。過去10年、豪州は米国に次いで二番目の中国の投資先であった。そして昨年、ほぼその半分が国有企業によるものであった。

 豪州における中国系住民は100万人である。その3分の1が中国生まれである。さらに14万の留学生がいる。年配の中国系住民の多くは完全に同化しており、中国に対する批判的な声が封じ込められているわけではないが、多くの中国系住民の間で親中の態度がますます明らかになっており、また中国語のメディアはほぼ全て親中のグループに支配されている。

 中国の投資についての意見は分かれている。米国、英国、日本の投資と同じ基準で考えて構わないという意見もあるが、もっと思慮深い提案は、リストに基づき外国の投資を審査することである。リストには、道路、鉄道、橋、ガス・パイプライン、空港、港湾および発電、送配電、通信が含まれる。機微な安全保障上の問題を含む外国投資審査委員会(FIRB)の勧告は、閣議レベルで検討されるべきである。

 中国と豪州の価値観の大きな違いのゆえに、中国を他の投資家と同じように扱うことは困難であることを明確に理解する必要がある。ソ連と同様に自国の国民に残忍を働いた一党支配の国に対し節を曲げることは道徳的に困難であり、状況如何にかかわらず投資のパートナーとすることは困難である。

 この関連で問題となるのが、中国人コミュニティの中国政府寄りの見解である。彼らの態度がこれ程までに圧倒的に人民共和国寄りであったことはないと聞く。キャンベラの中国大使館が後ろで糸を引き、中国に残している家族に対する報復で脅かしていることに疑いはない。特に不快だった事件は、中国人団体連合会が首相と外相に8月6日付で公開書簡を送り、南シナ海の国際仲裁裁判の判断についての豪州政府の態度に深い懸念を表明したことである。書簡は「我々は豪州市民であることを誇りに思っている…しかし、我々の伝統的祖国にも強い気持ちを抱いている」と締めくくっている。

 その他、キャンセルはされたが、毛沢東を讃えるコンサートがシドニーとメルボルンで中国系ビジネスによって計画されていた。中国ビジネスによる政党への献金が指摘されている。人民共和国と共産党にノスタルジアを抱く多くの中国系住民と学生がいることは事実である。そうであれば、我々は同化せず外国に忠誠を誓う人間の集団という危険なケースを抱えていることになる。
出 典:Paul Dibb ‘Local allegiance to Beijing brings investment concern’(Australian, September 6, 2016)
http://www.theaustralian.com.au/opinion/local-allegiance-to-beijing-brings-investment-concern/news-story/487f677701a310866bd43a5f91d57d14

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