山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年10月26日

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 先月に引き続き今回はベトナム、マレーシア、シンガポールを3泊4日の弾丸出張で回った。ベトナムを訪問するのは久しぶりである。

 シンガポールと較べるとベトナムの経済力はそれ程でもないが、前回の『「シンガポールは幸せランキングで世界最下位の148位」は本当か?』 に比べるとベトナムは少なくとも幸せな国家に見える。加えてベトナム女性は心が優しく東南アジアの中では最も肌が白くスリムなアオザイ美人が多い。ベトナム女性はこんなに素晴らしいからベトナムの男性はさぞや幸せだと思ったらとんでもない間違いなのである。

 そんなことで今回はベトナム女性をテーマに想定外のビジネスの交渉について書いてみたい。

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ベトナムではなぜ、カカア天下が幅を利かすのか?

 実はベトナムでは、交渉事になると夫婦同伴で面談することが多い。男たちは大雑把なので細かいことは得意ではないようにみえる。商売の現場でも何かといえば奥さんが横から口を出す場合が多い。つまり、ベトナムとの交渉事で手強いのは、ベトナムの女性たちの存在である。

 ビジネスにおいても相手を油断させ、相手から取れる情報は全部取っていく。そもそも自分たちには何もなくすものがないというスタンスだから強い。

 これまでもベトナムとの売買交渉には女性の経営者と行うことが多かったが、ベトナム女性は優秀である上に交渉力が半端ではないので山師と呼ばれる私にとって毎回悩まされる存在である。とは言いながら『日本と類似するベトナムのおもてなし』の心を持っている女性経営者も沢山いる。 

 私がこれまでビジネスを行ってきたベトナムの中小企業には、経営陣の中に必ずと言っていいほど「奥さん」の存在があった。契約や交渉の大事な場面では実は男たちよりも奥さんの意思決定権のほうが重いのである。

 日本の感覚では考えられない場面に遭遇することがあるが、長年の取引をしているうちに次第に理由が分かってきた。何しろベトナムの男たちは真面目ではあるのだが、どこか能天気なのだ。そして肝心要の部分は「カカア天下」の奥さんに任せっきりであったりする。

男性経営者は奥さんを利用して有利な交渉をしている?

 私がベトナムで経験したケースでは、こういうことがあった。カウンターパートとなったベトナム人社長との関係はとても良好で、うまくビジネスが運びそうに思えた。ところが、社長と話しているとなぜか彼の意見がコロコロ変わるのである。レアアースの価格が暴騰し始めた時期に何度か交渉をしてやっと決まった取引が突然ドタキャンされたことがあった。

 信用状の到着が1日遅れたという理由で契約をキャンセルされたのである。信用状の開設は余裕を持って行ったはずであったが、相手が言うには信用状の原本の到着が1日遅れたのだという。

 そんなはずはない、と思い社長を電話で問い詰めると、相手は、一応申し訳なさそうにこう言ったのである。「妻がもっと高く買ってくれる別の客に売ってしまったんだ。勘弁して欲しい」と。

 要は、このベトナム人男社長は決定権がなかったのである。奥さんからすれば、夫が見つけてきた客など端から信用していない。そういう会社と今後も取引を行ったところで信頼関係を構築するのは難しいから取引は止めることにした。

 男性はといえば、できるだけ楽をして儲けたいと考え、あれこれ策略を練るが、地に足の着いた仕事をして交渉相手を賢く見抜くのは女性の経営者に多い。

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