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2016年11月9日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 「なぜこんなことになったんだ?」サンフランシスコダウンタウンのスターバックスで大声で怒鳴る男性。「カリフォルニアはクリントン勝利だったのに」と呆然とする店員。11月8日深夜、大統領選挙の結果が見えた米国内は不穏とも諦めともつかない奇妙な雰囲気に満ちていた。

 ドナルド・J・トランプ氏(70)の第45代合衆国大統領就任。直前までこの結果を予測した人は非常に少なかった。選挙前日でも世論調査でのヒラリー・クリントンリードは5ポイントで、ウォール・ストリートは「ヒラリー優勢」のニュースからダウ平均が500ポイント近く上がるなど、楽勝ムードが漂っていた。しかし、蓋を開けてみれば思わぬ大差でのトランプ勝利。

勝利宣言を行うトランプ氏(GettyImages)

クリント・イーストウッドもトランプ支持

 トランプ氏は「コンプリケートなビジネスだったが我々は勝った。今こそアメリカはひとつにならなければならない」と勝利宣言を行った。これほどまでに分断された国が再びひとつにまとまるのか、米国人でなくとも疑問を持つところだが、米国人自身が選んだ結果なのだからこれはこれとして受け止めるしかない。

 今回のヒラリーの敗因はどこにあったのか。考えてみれば、民主党は共和党よりもさらに内部分裂が激しかった、ということに気づく。共和党はパパブッシュにジョージ・ブッシュの2人の元大統領が「ヒラリーに投票する」と宣言、上院議員の大御所であるジョン・マケイン、前回の大統領候補のミット・ロムニーなど大物が次々に反トランプを表明、一見ひどい分裂状態にあるかに見えた。

 しかし、彼らはほとんどが「過去の人」である。現上院議長のポール・ライアン、クリス・クリスティーNJ州知事など、現役大物はトランプ支持に回った。特にニュート・ギングリッチは有権者にeメールでトランプへの投票を要請、また各界の尊敬を集めるクリント・イーストウッドもトランプ支持だった。民主党政権が8年続いた後だけに、誰が候補であろうと共和党政権を取り戻したい、という意思は強かった。

 一方の民主党。ヒラリーで一枚岩とはとても言えない状況だった。夏には民主党本部のeメールのリークにより「党本部とヒラリー陣営が不当な選挙操作を行いバーニー・サンダースの当選を阻害していた」ことが表明。無名の存在から一気にヒラリー対抗馬に駆け上がったサンダースではあるが、そんな汚い手を使わなければ勝てなかったのか、とヒラリーへの失望が増した。当のサンダースは自分の支持者に「ヒラリーへの投票を」と訴えたが、最後までサンダース支持者を取り込めなかったヒラリーの人望のなさにも問題がある。

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