WEDGE REPORT

2016年11月14日

»著者プロフィール

 米国のトランプ次期大統領はホワイトハウスや閣僚、政府幹部らの人事に着手しているが、大統領の”門番”といわれる首席補佐官ポストをめぐってすでに激しい権力闘争が始まり、波乱含みの滑り出しになっている。こうした中、ワシントンの政界に太いパイプを持つペンス副大統領が政権移行チームの執行委員長に就任し、同氏の影響力が名実ともに強まる見通しとなった。

娘婿が引きずり落とす

iStock

 ニューヨークのトランプ・タワーに陣取っているトランプ氏は11日、次期政権の人事や政策の骨格を決める政権移行チームの陣容刷新に踏み切り、16人の側近からなる移行チーム「執行委員会」を発足させた。同氏はこれまでチームを率いてきたクリスティー・ニュージャージー州知事を更迭し、ペンス副大統領を執行委員長に任命、運営を仕切らせることにした。

 この16人の主要なメンバーには、クリスティー知事、レインス・プリーバス共和党全国委員長、トランプ選対委員長で、保守系ニュースサイトを運営するスティーブン・バノン氏、アラバマ州選出のジェフ・セッションズ上院議員、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、元国防総省情報局長マイケル・フリン将軍、2人の息子と長女イバンカ、イバンカの夫らが含まれている。

 トランプ氏はこれまで選挙を一切経験したことはなく、公的な役職に就いたこともない。「ワシントン政治」を米国をダメにしたものと強く非難し、連邦議員ら政治家をやり玉に挙げてきた。しかしいったん大統領に当選するとそうはいかない。政権の発足の準備には、オバマ政権や議会、諸官庁の協力がなければ何一つ動かないからだ。

 とりわけ人事は、首席補佐官を頂点とするホワイトハウスのスタッフ、国務、国防両長官ら15人の閣僚、4100人にも上るポリティカル・アポインティー(政治的任命)の選任など来年1月20日の大統領就任式までに決めなければならない。待ったなしの急務だ。うち約1000人は上院の承認が必要だ。

 このためトランプ氏は現職のインディアナ州知事であり、下院議員を6期務め、ワシントンの政界に太いパイプを持つペンス氏を政権移行チームのトップに据えた。しかし米メディアなどによると、その背景には、トランプ氏の側近の間でそれまでチームの長だったクリスティー・ニュージャージー州知事の独断専行に対する不信感が強くあった。

 特にトランプ氏の長女イバンカ氏の夫ジャレット・クシュナー氏が水面下で同知事を引きずり落とすことを画策したという。同知事が政敵を窮地に追い込むため、ニューヨークとニュージャージー州をつなぐ橋の車線を故意に規制した疑惑で、知事の元部下ら2人が有罪になったことから、知事にも捜査が及ぶのではないかと懸念していたとされる。

 クリスティー知事が格下げになると同時に政権移行チームの事務局長も同知事の側近からセッションズ上院議員の補佐官であるリック・ディアボーン氏に交代した。同知事は2月、大統領選挙指名争いから撤退した後、いち早くトランプ支持を打ち出し、信任厚い側近として振る舞ってきた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る