風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年3月25日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

2学期に入って再び取り組み始めたなわとび。“連続100回”に挑戦したり、かけ足とび、はやとび(一拍跳び)に挑戦してきています。9月当初は、なわとびよりも虫捕り、ホールでの大型積木などに夢中だった人もいました。というよりもむしろ、なんとなく「なわとびは避けたい」という心の表れから、私(先生)から見たらあえて他の遊びに夢中になっているように思える人もいました。
それでも、朝の会や帰りの会の中で「○○ちゃんは今、△△とびを頑張っていて、もう少しでできそうなんだよ」などと話題にしていくと、「僕も」「私も」と、なわとびに夢中になる子が徐々に増えていきました。
いつしか、なわとびの話題は『なわとびニュース』という呼び名がつき、それぞれの目標設定の場にもなっているように感じます。「私もはやとびができるようになりたい」「玄貴くん、頑張ってるね」「智康くんはそんなにできるようになったんだ!」などと、自分の新たな目標を立てたり、仲間の頑張りを認め合ったりしている子どもたちです。そして、自分の目標を達成すると「見て、見て」と私の所へやってきて、最後に必ず「なわとびニュースでみんなにも伝えてね!」とつけ加えるのです。
それぞれが、自分の目標にむかって技に磨きをかけている毎日です。
風2組 学級通信「麦」より

 風の谷幼稚園の年長児クラスの2学期には「なわとび」の取り組みが始まる。この「なわとび」については年中児クラスでの取り組みを紹介したが(密着レポート第15回第16回参照)、5歳児になった段階で、再びカリキュラムとしてスタートする。

 年中児の段階では、「問題は必ず解決できるという思考力」と「人と心を通じ合わせる力」(コミュニケーション力)の育成に主眼が置かれていたが、年長児になるとそこに新たな教育意図が加わることになる。今回はその内容について紹介していこう。

5歳児が自分で決めた目標とは?

心も身体も大きく成長し、卒園式を迎える子どもたち。年長のなわとびではどんな力を身に付けたのか?

 風の谷幼稚園では3月16日に卒園式が行われたばかりだ。今年の卒園児は、なわとび連続200~300回を跳べる子どもがたくさんいたが、中には連続800回(!)跳べた女の子がいたというから驚く。しかし、再三この連載でご紹介しているとおり、風の谷幼稚園のあらゆる活動の目的は心の育成であり、身体能力の向上はあくまでも結果なのである。では、年長児クラスの「なわとび」を通じて、どんな心を育てようとしているのか?

 「5歳児でなわとびに取り組むことの意図は、自分で目標を設定させてそれをクリアしていくことにあります。それは人との競争ではなく、あくまでも自分との戦いです。自分の手の届く範囲で目標を設定し、それをクリアする経験を積み重ねていくこと。それが揺るがない自分をつくることにつながります。人間の基礎をつくる幼児期にはこの経験を丹念に、そして繰り返し積ませてやることが大切です」(天野園長)

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