田部康喜のTV読本

2016年11月24日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 NHK総合「スニッファー(嗅覚捜査官)」(土曜夜10時)は、並外れた嗅覚を持つ犯罪捜査のコンサルタントである、華岡信一郎(阿部寛)が殺人事件に挑む異色のドラマである。特別捜査支援室の刑事の小向達郎(香川照之)とコンビを組む。

 原作はウクライナのドラマ。今回は舞台を日本に移したリメイクである。有料放送のAXNミステリーチャンネルで「スニッファー ウクライナの私立探偵」のタイトルで放映されている。

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社会の分断と「正義」の問題

 ウクライナと日本を結ぶドラマの核心とはなんなのだろうか。原作のシリーズは、日本のみならずロシアや欧州などでも放映され、近く日本以外でもリメイクされるという。

 ウクライナはソ連崩壊にともなって独立、最近ではロシアによるクリミア半島の侵攻によって、国土は東西で分断されて戦闘が続いている。原作はそうした歴史的な背景を前提としながら、国家の上層部やマフィアが暗躍する犯罪のなかで、「正義」とはなにかを一貫して問うている。

 原作の第2シリーズは、罪を犯しても罰を受けない上層の階級に対して、処刑を繰り返す元特殊部隊のメンバーの物語である。「スニッファー」は彼らに加わることを幾度も強制されるが、その組織の壊滅のために捜査当局と協力する。

 NHKによる今回のリメイクの根底にも、そうした社会の分断と「正義」の問題が深く流れているように思える。

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