赤坂英一の野球丸

2016年12月22日

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 4年に一度の野球の世界一決定戦、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)はもう消滅してしまうのか。第4回大会を来年3月に控え、日本では侍ジャパンへの期待が盛り上がっている最中、アメリカのメディアがこぞって不穏な情報を伝えている。

 ESPN、CBS、ヤフースポーツなどの記者がネット上で伝えているところによると、WBCは第4回大会を最後に打ち切りとなる可能性が出てきたという。原因は、この大会を立ち上げたMLBが当初期待していたほどの収益を上げていないこと。加えて、アメリカ国内ではファンの関心が一向に高まっていないことも大きい。各社のウェブサイトには「MLBはこれ以上、大会にお金をかけるつもりはないようだ」(CBS)、「アメリカ人にはメジャーの公式戦のほうがよっぽど重要」(ヤフースポーツ)と、侍ジャパンに対して冷や水を浴びせかけるような報道が相次いでいる。

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 この動き、日本のプロ野球界やマスコミにとって、大変ショッキングな情報であることは確かだ。が、まったくの寝耳に水だったかと言えば決してそうではなかろう。私のような一介のスポーツライターも含めて、MLBが「や~めた」と言い出すのは時間の問題だと睨んでいた関係者は少なくない。ドナルド・トランプ次期大統領がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの撤退を表明したのと同様、十分予想された事態だったはずだ。

 WBCには2006年の第1回大会からどこか〝まがいものの世界大会〟というイメージがついて回った。レギュラーシーズン開幕直前の3月に開催されることから、言い出しっぺのMLBが選手の故障や調整不足を不安視し、出場辞退を表明する選手が続出したためだ。その中には、当時ニューヨーク・ヤンキースの主力だった松井秀喜も含まれている。

 にもかかわらず、日本でWBCが人気と注目を集めたのは、何と言っても、当時シアトル・マリナーズのイチローが参加し、チームリーダーとして獅子奮迅の活躍を見せたからこそだった。走攻守に渡って素晴らしいプレーを見せただけでなく、「ジャパンの一員として戦うことの意義と誇り」についても熱くコメント。韓国戦を前に「向こう30年間、日本には手を出せないと思わせたい」と発言したときはさすがに物議を醸したものの、最初のうちはまだ冷めていたファンをヒートアップさせるのに、最高の効果をもたらした。

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