前向きに読み解く経済の裏側

2017年1月9日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 新しい年を迎えたので、今年の経済見通しが次々と発表されています。しかし、今年の日本経済は、「昨年同様に緩やかな回復を続ける」とする以外のメインシナリオは考えにくいでしょう。そこで本稿は、日本経済に今年起こりえるリスクについて考えてみることにしましょう。ちなみに筆者の専門は経済予測であり、軍事・外交面の予測には難があり得ますが、悪しからず。

国内的には、特段のリスクが見当たらず

(iStock)
 

 日本国内を見る限り、政治面でも経済面でも特段のリスクは見当たりません。政治面では自公の安定政権が続くでしょうから、概ね無風でしょう。都議会選挙を契機として自民党内に亀裂が生じる可能性はありますが、それが経済政策に大きな影響を与えることはないでしょう。もちろん、安倍晋三総理が健康問題等で辞任される可能性等はゼロではありませんが。

 経済の面でも、特段のリスクは予想されません。消費税率の引き上げは予定されていませんし、財政金融政策が景気の腰を折ることは考えにくいでしょう。為替レートの円安と原油高が進行すれば、インフレ率が一時的に2%を超えることは考えられますが、それで金融政策が変更されることもないでしょう。一時的な要因によることが明白で、インフレ率が安定して2%を超えるといった状態にはほど遠いからです。

 国内要因だけを考えれば、株価の暴落も考えにくいでしょう。株価はトランプ相場で大幅に上昇しましたが、PBRやPERを見る限り、未だに「大幅な買われ過ぎ」という水準にはありません。

 少子高齢化による労働力不足は着実に進行し、非正規労働者の待遇は改善を続けるでしょう。その結果、高い時給が払えない非効率な企業は淘汰されるかも知れませんが、労働力が高い時給が払える効率的な企業に流れるのであれば、それはマクロ的な日本経済にとってはリスクというよりもむしろ望ましいことでしょう。

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