赤坂英一の野球丸

2017年1月18日

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 今年からまた野球のルールが変わることをご存知だろうか。「ゲッツー崩し」のために走者が野手目がけて滑り込むスライディングが、危険なプレーとして禁止されるのだ。

 例えば、無死か1死、走者一塁、一・二塁などで打者が内野ゴロを打つと、一塁走者は二塁ベースではなくベースカバーに入った内野手(二塁手や遊撃手)に向かって滑り込んだり、両手を上げて内野手の一塁送球を邪魔したりしていた。打者走者が一塁でアウトにされないようするためだが、こういう走塁が今年から禁じられる。審判に危険な行為だと判定されたら、その走者に加え、打者走者もアウト。つまり、昨年まではダブルプレーを妨害するためだったテクニックが、逆に自ら併殺される反則行為となったわけだ。

(iStock)
 

 この新ルールは今月11日、東京都内で行われたプロ・アマ合同野球規則委員会で正式に決定、公認野球規則に新たな項目として追加されている。NHKニュースでも紹介されたように、昨年4月3日、ソフトバンクのセカンド・川島慶三が二塁ベースカバーに入った際、日本ハムの田中賢介に滑り込まれて負傷し、退場となるアクシデントがあった。今回の規則変更はそんな内野手のケガ防止を目的とした措置で、メジャーリーグでは昨年から実施している。捕手が本塁上でブロックすることを禁止したコリジョン(衝突)ルールと同様、また日本がアメリカに倣った形だ。

 実は、この禁止事項が決まる数日前の1月2日、日米両球界で「殺人タックルの名手」と言われたスター選手が亡くなった。1952年にジャイアンツでメジャーデビューし、カージナルスやドジャースでも活躍、1964年から通算7年間、阪急(現オリックス)でプレーしたダリル・スペンサー(88歳没)である。

 スペンサーは研究熱心、かつ野球の知識が豊富で、阪急時代は「野球博士」と呼ばれた半面、熱くなると手のつけられない暴れん坊だった。190センチ、90キロの巨漢で、いったん塁に出ると自分より一回り以上も小柄な日本人選手に次々と体当たりをぶちかます。1試合で相手の二塁手と三塁手を退場させ、しかも三塁手にはスパイクで10針縫う大ケガをさせたこともあったほど。そうしたプレーを非難されると、「おれに言わせれば、日本人がファイティング・スピリットに欠けてるんだ」と発言。相手投手に「いまにぶつけてやる」と凄まれていても、「いつでも来い。それも野球のテクニックのうちだからな」とうそぶき、少しも動じなかったという。

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