大統領就任式が終わって2週間ほどが経過したが、テレビをつけてもインターネットにつなげても、Trumpという名前を避けることは不可能な日々が続いている。
就任式前にジョージ・W・ブッシュ元大統領が、「オレがアメリカ史上最悪の大統領でなくなる日が楽しみだ」と言ったとか言わないとか、ソーシャルメディアでジョークのネタになった。
新政権がスタートしてまだわずかだが、毎日聞こえてくるニュースはリベラルなニューヨーカーの神経を逆なでするようなことばかり。だがトランプ大統領が誕生したのは、逃げることのできない現実なのである。
ニューヨーカーの掲げたプラカード
大統領就任式の翌日の1月17日、世界各地で行われた抗議デモ、Women’s Marchは全世界で480万人が参加したといわれている。
ニューヨークではおよそ40万人の人々がセカンドアベニューからフィフスアベニューにあるトランプタワーの前まで、それぞれ手作りのプラカードを掲げて参加した。
このプラカードのスローガン、一つ一つじっくり読んでみるとなかなか面白く、語呂合わせなどもよくできたものもある。
「No Hate No Fear Everyone is Welcome Here」(憎しみ、恐れはいらない。ここでは誰でも歓迎します)
「Illegal Immigration Started with Columbus」(違法移民はコロンバスから始まった)
「Love not Hate Makes America Great!」(アメリカを偉大にしているのは、憎しみではなく愛!)
このように、最も目についたのは移民法に対する抗議の声だった。
言うまでもなく、この国ではネイティブアメリカン以外はすべて移民の子孫。トランプの母親も、移住した当時は違法移民だったと言われている。だがいったん自分たちが安全な地位についたら、他者は知ったことではないというのがトランプ政権の基本的方針である。
抗議の声も虚しく、このデモ行進のわずか10日後にはイラクなどイスラム系国7カ国からの移民の入国を拒否する大統領令で、JKF空港も大混乱に陥ってしまった。