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2016年10月18日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 9月17日、マンハッタンのチェルシー地区で手作りの爆弾が炸裂し、多くの負傷者が出た。2001年9月11日の同時多発テロ以降、ニューヨークではいくつか未然に阻止されたテロ計画の報道はあったものの、大きなテロ事件は起きていない。

 だが今回の事件により、市内中で再びテロ警戒態勢がしかれはじめた。その余波はあらゆるところに及んでいるが、予想していなかったのは公衆トイレの閉鎖である。

爆破事件翌日の23丁目

閉鎖されたリンカーンセンターのロビー階トイレ

 先日リンカーンセンターのデビッド・ゲフィン・ホール(旧アベリー・フィッシャー・ホール)のチケットを買いに行ったついでにロビー階にあるトイレに寄ろうと思ったら、ドアの前がチェーンで閉鎖され、その前には警察官が2人立っていた。

 清潔に管理されていて、ほとんど混まないデビッド・ゲフィン・ホールのトイレは、ニューヨーカーにとってありがたい、貴重な公衆トイレの一つだった。テロ警戒なら、巡回などを増やすことでどうにかならないものなのか。そうでなくてもニューヨークの公衆トイレの不足は、深刻な社会問題なのである。

ニューヨーカーが感嘆する東京のトイレ事情

iStock

 日本を初めて訪れたニューヨーカーの友人が、感嘆して最初に言ったことは、「清潔なトイレが各駅ごとにある!」だった。たしかに今の東京の都心部では、どのメトロ駅にもきれいに維持された西洋式の水洗トイレが設置されていて、本当にありがたい。駅がなくても、近くにコンビニがあればトイレにはこまらない。移動中に緊急事態が起きても、安心である。

 それに比べると、ニューヨークのトイレ事情はかなり遅れている。日本から来た知人を案内するときは、レストランを出る前などに必ず、「お手洗いは大丈夫ですか?」と確認している。街の真ん中で突然に、「トイレに行きたい」と言われると、長年住んでいる私でも、場所によっては本当に途方にくれる事態になる。スマートフォン用に、公衆トイレを探すアプリがあるほどなのである。

 そんなわけで、ニューヨークを訪れる人たちのために、こちらのトイレ事情をちょっと紹介してみたい。

ミッドタウンならグランドセントラル駅などへ

 まず地下鉄の駅にトイレなどというものはなく、係員用のトイレには鍵がかかっていて一般人は使用できない。ニューヨーカーには60年代、70年代には地下鉄のトイレは麻薬中毒者のたまり場になっていたという記憶があり、たとえ鍵がかかっていなくても一般人は近づこうとはしないのだ。

 もっともグランドセントラルステーション、ペンシルバニアステーションなど、郊外電車の出る駅には、広い公衆トイレがあって特に女性用は常に列が並んでいる。

 タイムズスクエア周辺なら、郊外への長距離バスが出るポートオーソリティーバスターミナルが便利だ。またブライアントパークの42丁目沿いにあるトイレは、個室数は少ないけれど、ニューヨークでもっとも清潔な公衆トイレと言われている。

 セントラルパークには10カ所ほどの公衆トイレがあり、オンラインで場所を検索できる。ただし冬場は使用できない場所もあり、また日が暮れると閉鎖してしまうので利用するなら明るいうちが原則だ。五番街近辺なら高級デパートのサックスフィフスアベニュー、あるいは冬はスケートリンクになるロックフェラーセンターの、NBCのビルの地下にある公衆トイレは大きくて便利だ。

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