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2016年9月17日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 9月になると、全米中の親たちがほっと一息ついている。なぜかというと、先日のレイバーデイ(労働者の日、毎年9月の第一月曜日)を最後に、長い長い夏休みがようやく終了して、いよいよ新学期が始まったからである。周知の通り、アメリカの学期は9月にはじまり、6月の頭に終わる。

 まだ日本に住んでいた時分、アメリカでは学生の夏休みが3カ月もあると聞いたとき、初めはとても信じられなかった。1年のうち3カ月も休みをとって、(実際にはクリスマス休暇、春のイースター休暇を入れるとアメリカの学生の休みはほとんど1年の3分の1になる)普通に卒業し、一人前の社会人になれるなんて、あまりにも話がうますぎる。ところが筆者が中学を日本で終えてアメリカに留学してみると、それはまさしく現実だった。

ニューヨークで、デイキャンプに参加する子供たち(著者撮影)

アメリカの学校に「夏休みの宿題」がない理由

 だがアメリカの学生のSummer Vacationは、日本の学生の「夏休み」とはかなりニュアンスが違う。まずアメリカでは夏休みの宿題、研究や課題、合宿といった学校生活に関する制約はいっさいないのだ。その理由は、同じ生徒が秋の新学期に戻ってくるとは限らないからである。アメリカでは一般的に1年から6年をElementary School(小学校)7年生と8年生をMiddle School(中学)、そしてHigh School(高校)は9年生から12年生の4年制度のところが多い。

 だが小学生以上になると、特に私立では、中学を2年、高校4年という長期で考える発想はほとんどない。授業の単位さえしっかり取っていれば1年ごとに気軽に転校したり、出戻ったりということができるからだ。私が卒業したニューヨーク州北部にある私立高校でも、同じ学校に4年通う学生のほうが珍しかったくらいである。

 どの生徒も「来年(9月からの新学期のこと)は公立に行ってみる」「来年は兄と同じ学校に移ることにした」「公立は合わないから戻ってきた」と、1年ごとに違う学校に行く生徒は少しも珍しくないのだ。したがって学校側も6月の頭に最後の学期が終了すると、夏休みというよりは、「いったん解散」という状況になる。教師も生徒も、「9月にまた会えたら会いましょう」程度の関係で、「夏休み中は遊び過ぎないように」などという教師は1人もいない。何しろ学期が終了したら、その学生はもう自分の生徒ではないのだから。

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