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2016年9月17日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

子供たちの行き先は

 「3カ月もの夏休み、親はどうするんですか?」

 アメリカの事情を日本人に話すと、必ずこういう質問が来る。現在のアメリカ社会では専業主婦という人はあまり多くなく、仕事をしている両親はもちろん子供につきあって3カ月休むことなど、とてもできない。6月の頭から9月の頭まで、当然子供の行き場所がなくなってこまるのである。

 高校、大学くらいになると夏休み前半はアルバイトやインターンとして働き、後半は友人たちとバックパック旅行などに行くので、親の手はかからない。だが小学生の子供が2人や3人という家では、両親はいったいどうしているのか。

 年端のいかない子供だけ家に残していると、すぐに「ネグレクト」「虐待」と通報される社会なので、日本のような「かぎっ子」という習慣はない。何より子供を狙った性犯罪も多く、危ない。

 アメリカは核家族の個人主義社会とはいえ、自分の親が健康で関係が良好なら、時には子供を預けることもある。でもそれも長くて1週間が限界だろう。
そこで親の頼みの綱は、Summer Campである。

アメリカのサマーキャンプとは

 キャンプといっても、必ずしもテントを張ってキャンプしているわけではないが、夏休み中の子供を対象とした、ボーイスカウトやガールスカウトの合宿のようなものと考えるとわかりやすい。毎日プールで泳いだり、雨の日は工作などをしたり、子供たちが退屈しないよう、様々なアクティビティを詰め込んでくれるのだ。

 中にはニューイングランド地方などに子供たちを数週間連れて行って、夏休みで空になったどこかの学校の宿舎を借りて団体の合宿生活を送るという本格的なキャンプもある。でもかなりの費用がかかるので、経済的な余裕のある家でないとこうしたSummer Campには送ることはできない。

 そこまで経済的余裕がない家庭のためには、お手軽なDay Campというものがある。ニューヨークでもよく見かけるが、アルバイトの高校生や大学生たちを数名雇って引率させ、子供たちを集めて朝から夕方まで遠足のようなことをしてくれるのだ。夏の間に公園や博物館などに行くと、よく小学生の大群に出くわすのは、このようなDay Campなのである。

 最後の1、2週間は親も一緒に休暇をとり、どこかのビーチリゾートなどに家族旅行に出かける。そして親もヘトヘト、もう限界だというあたりでようやく9月のレイバーデイがやってくる。翌日から子供たちが学校に戻り、家には秩序と平和が戻ってくるのだ。

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