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2017年2月13日

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松谷創一郎 (まつたに・そういちろう)

ライター、リサーチャー

1974年生まれ。商業誌から社会学論文、企業PR誌まで幅広く執筆。国内外各種企業のマーケティングリサーチも手がける。得意分野は、カルチャー全般、流行や社会現象分析、社会調査、映画やマンガ、テレビなどコンテンツビジネスについて。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(原書房/2012年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(共著・羽渕一代編/恒星社厚生閣/2008年)、『文化社会学の視座:のめりこむメディア文化とそこにある日常の文化』(共著・南田勝也・辻泉編/ミネルヴァ書房/2008年)等。

 2016年の日本映画界は、非常に活況に満ちた一年となった。

 2015年に続いて興行成績は好調を維持し続け、結果的に過去最高を記録した。さらに2010年代を代表するかのような3本の映画も登場した。『君の名は。』、『シン・ゴジラ』、そして『この世界の片隅に』だ。先に結論だけ述べておけば、この3本は「ポスト3.11の時代」を象徴する映画だった。

 本論では、全体の情況を確認しながら、この3本を中心として2016年の日本映画を考察していく。

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飛躍の可能性がうかがえる日本映画界

 本題に入る前に、映画界全体の動向を押さえておこう。

 映画はしばしば斜陽産業だと見なされるが、それは誤った認識だ。90年代中期に最低迷期を迎えた日本映画界は、21世紀に入って回復した。1981~2000年と2001~2016年の両期間を比較すると、総興行収入は平均1685億円から2039億円に、入場者数は平均1億4291万人から1億6329万人にまで増えた。こうした変化の要因を両時期の差異から導くならば、シネコン(複合型映画館)の浸透や、テレビ局や出版社などメディア異業種の参入、そしてアニメ人気が挙げられる。

 具体的に振り返ると、2010年に総興行収入が2207億円と当時の過去最高を記録した。しかし、翌11年は(東日本大震災の影響もあったが)1812億円と約400億円のマイナスと、過去15年で最低の数字となった。統計学的には、これは「平均への回帰」を示す現象だと考えられる。つまり、21世紀に入って復調したものの15年ほどは大きな変化はなかった。

 しかし、2015年と16年の2年間だけを見れば、産業的には飛躍の可能性がうかがえる。なぜなら、2016年の総興行収入は、2010年を大幅に上回る過去最高の2355億円となったからだ。2015年が歴代3位の2171億円だったことを踏まえると、(消費税増税の影響を含めても)映画館に多くの観客が足を運ぶ活況が2年続いたと言える。今年もこの調子が続けば、映画産業は新たな成長段階に入ったと考えてもいいかもしれない。

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