2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2017年2月17日

 「世界中が民主主義の困難に直面するなか、なぜ日本政治は安定しているのか」。各国の日本研究者と交流するなか、幾度となくこの質問を受けた。

 安倍内閣は組閣から5年目を迎え、自民党の総裁任期制限も連続2期6年から連続3期9年に延長される。政権の長期化に加え主要閣僚が留任することで、政権は国内外において強い存在感と高い安定感を示している。

 安定の源泉はどこにあるのか。アベノミクスへの評価や「安倍一強」を許す与野党といった説明がされるが、やはり最大の支えは圧倒的な議席数だろう。衆議院における自民党の議席占有率は61%を誇る。それは中曽根内閣の任期延長をもたらした「死んだふり解散」(59%)より高い。

 この背景には小選挙区比例代表並立制という制度的要因がある。この制度は安倍内閣のみならず、2005年(自民61%)、09年(民主64%)と強い与党を創出してきた。政権交代を可能にすると謳われた小選挙区制は、今、長期政権をもたらす制度的基盤となっている。

 もっとも、私たちが選挙の結果である議席数に囚われていることは否めない。それが選挙区レベルでの支持・不支持の積み重ねであることを忘れがちである。ひとたび個々の選挙区のあり方に目を向けてみると、その政治的な空間が現代日本の民主主義を強く規定していることに気づかされる。選挙区とは何か、改めて考えてみたい。

戦後最大の選挙区改定

 というのも、まさに今、選挙区の改定が進められている。いわゆる「一票の格差」に関する最高裁の「違憲状態」判断を受け、格差を2倍未満に収めるべく、衆議院議員選挙区画定審議会(以下、区割り審)による見直しが行われている最中だ。その規模は20都道府県約100選挙区と戦後最大である(注:改定対象は鳥取県を除いた19都道府県に変更)。

改定される選挙区を地盤に持つ議員から早期解散圧力が強まっている
(写真・AFP/JIJI)
 

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