2024年4月30日(火)

家電口論

2017年3月17日

 世界一のメガロポリス東京。東京都が、経済活性化のためにと、五輪招致を発案。国を挙げて招致したまではいいのだが、その後は、めちゃくちゃだ。メイン会場となる国立競技場の建て替えなどは最たるもの。正直、個人的にはザハ案が優れて良いとは思わないが、あの収束の仕方はうなずけない。続いてエンブレム問題、競技施設の見直し。そこまできても、まだ「後は実務だけ」にはなっていない。今回取り上げる「展示会場問題」もあるし、多分今後「食料認定の問題」も叫ばれると思う。

 今回は、メディアと深い関係のある「展示会場問題」をレポートする。

展示会場問題とは何か?

東京ビッグサイト
 

 展示会場問題というのは、2015年11月東京都から、『「東京都の持ち物であるビッグサイトを改造、2019年4月〜2020年11月までの20カ月、一部ないし全部をオリンピックのメディアセンター(総合報道センター)として使うため、展示会場としては使えない」と宣告されたことにより、発生する種々の問題』の総称だ。

 これは狭い日本としては、かなりゆゆしき問題だ。当初、この期間、開催できなくなる展示会に関しては、東京都は「ビックサイトから1.5kmの所にある東京テレポート前の敷地に仮展示会場を作るので、規模を小さくして開催してほしい」という旨を発言。しかし、その後、「この仮設会場も、オリンピック時はバスターミナルにするため、2020年3月以降使えなくなる」ことが判明。2020年4月〜11月、東京都のお台場で大規模な展示会ができなくなることが明らかになった。

日本の展示会場問題

 展示会の大きな目的の一つは、展示品でのビジネス、商談だ。このため展示場と会議場が併設されるのが通常のスタイルとなる。世界最大の家電ショーIFAが行われるドイツのベルリンにあるメッセ・ベルリンがそうだし、国内でも千葉の幕張メッセ、東京のビッグサイト、博多のマリンメッセ福岡コンベンションセンターなど多くの施設が、そのような配置だ。これは展示で刺激を受けながら、いろいろなことを取り決め、ビジネスに結びつけるためだ。

 世界の主要都市には、ビジネスのために、こうした展示会場があるのが普通だ。しかし、日本の場合はちょっと事情が異なる。それは首都東京にあまりにもビジネスが集中し過ぎて、展示会場とビジネスのつながりが足らないのだ。

 いわゆる東京エリアには、大きな展示会場が2つある。「東京ビッグサイト」と「幕張メッセ」だ。施設面積は、9万3000m2と7万2000m2。ちなみに「メッセ・ベルリン」が、16万m2。この2つを合わせた面積を有する。東京エリアで1万m2以上ある展示会場は、この他にパシフィコ横浜(2万m2)があるだけ、この下は有楽町の国際フォーラムなので、ぐっと小規模化する。単純に言うと、東京のビジネス規模に対し展示会場は慢性的に不足しているのが現実なのだ。ちなみにビッグサイトは、2016年に拡張工事をしている。

メッセ・ベルリン

 東京は確かに凄い街ではあるのだが、ビジネス的な仕掛けはプア。展示会場不足もその一つだ。このため、ビジネスの仕掛けとして重要なメジャーな展示会を、ほとんど海外、特に中国に奪われつつあるのが現状だ。一番影響を受けやすいのはベンチャー企業。技術系が多い日本のベンチャー企業の泣きどころの一つは営業。持っている技術、製品のアピールが不十分だったりすると正統な利益を得られない場合が多々ある。そんな多くのベンチャー企業の頼りが展示会だ。

 展示会が半年以上中止となると、死活問題となる場合も多い。つまり展示会場がないということは、実ビジネス及びビジネスポテンシャルが切られていくことを意味するのだ。


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