今月の旅指南

2010年5月28日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

色鮮やかな花器もいけばなも、作品自体が常寂光寺の庭園に咲く花のように風景に溶け込んでいる

 紅葉の名所として知られる京都・小倉山の中腹にたたずむ常寂光寺〔じょうじゃっこうじ〕。もみじが赤く色づく秋の風情もさることながら、みずみずしい青もみじと苔が庭園を覆い尽くす6月頃の美しさもまた格別だ。

 そんな初夏の名刹を舞台に繰り広げられるのが、有田の日展作家・馬場九洲夫〔ばばくすお〕の「やきもの」と、嵯峨御流〔さがごりゅう〕華道家・辻井ミカがいける「いけばな」とのコラボレーション展だ。

 馬場九洲夫は、伝統色の強い有田焼において型にとらわれず独自の美意識を追求した窯元「真右ェ門窯」の2代目当主。シンプルな造形と釉薬〔ゆうやく〕を巧みに操る技に定評があり、特に、ルビー色の「辰砂〔しんしゃ〕」や神秘的な「結晶釉」など、彼にしか創り出せない色を生み出した。

 一方の辻井ミカは、日本を代表する華道家の1人、辻井弘洲を祖父に、嵯峨御流特別最高顧問の辻井博州を父にもち、伝統を踏まえながらも自由でエネルギッシュないけばなの世界を展開。国内外で精力的に活躍している。

 今回の展覧会は、そんな2人が創り出すアートの掛け算が見ものだ。また、常寂光寺の庭園の青もみじを借景としていけばなに取り入れる趣向も見どころ。馬場九洲夫の真骨頂である辰砂の「赤」が、青もみじの「緑」にどう映えるのか、注目したい。

 
 
 
 

小倉山で出会う色彩展
〈開催日〉2010年6月5~11日
〈会場〉京都市右京区・常寂光寺(山陰本線嵯峨嵐山駅下車)
〈問〉075(861)0435
  http://www.jojakko-ji.or.jp/

◆ 「ひととき」2010年6月号より

 


 

 


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