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2017年3月24日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

 「若い頃に他の国々の若者と生活を共にすることが将来にわたる友好の礎になります」

 香港の著名な実業家であるロナルド・チャオ(曹其鏞)さんは今も日本で過ごした学生時代を思い出すという。1958年に東京大学工学部に入学、62年に卒業するまで、東京・本駒込にある「アジア文化会館」で日本人学生と生活を共にした。卒業後は米国留学を経て香港に戻り、父親が創立したニット製品の製造を中心とする繊維会社を大きく成長させた。

 ビジネスを通じて日本の経営者にもたくさんの友人を持つ。その「香港永新企業」の副会長に退いた今も、夫人の曹羅碧珍さんと共に年に数回は日本を訪れる。大の日本びいきである。

 そんなチャオさんが70歳を超える頃から情熱を傾けているのが、日本と中国、アジア各国との架け橋になるリーダーを育てること。

ユニクロの柳井氏に相談し早大の学生寮建設にも貢献

 まず始めたのが大学に私財を寄付し、国際学生寮を建設することだった。中国大陸の5つの主要大学に話をもちかけ、国際学生寮「日中青年交流センター」の設置を提案すると、最初は難色を示されたという。

 というのも2010年当時は、日中関係が急速に冷え込み始めていた頃。「同じ学生寮に中国人学生と日本人などほかのアジア人学生を共同生活させることに、当局が神経質になったのでしょう」とチャオさんは振り返る。それでもひとつの大学でうまくいくと、次々に完成していった。何せ、1大学あたり2000万元(約4億円)を寄付するという、大学にとってはこの上ない話だったからだ。5大学の学生寮はすべて完成。日本の学生ほか、アジアからの留学生がここで中国人学生と共同生活を送っている。

今年のサマープログラムが行われる台湾国立大学 (写真・GETTYIMAGES)

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