WEDGE REPORT

2017年4月4日

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東京都品川区と大阪市は、成年後見制度が始まった当初から地域連携の仕組みを作ってきた先進地域だ。「認知症700万人時代に備える(PART2)」では両モデルを紐解き、持続可能な仕組みを、品川モデル、品川モデル・キーマンインタビュー、大阪モデルの3回に分けて探る─。

「予算がないからできない」は言い訳だ
「品川モデル」構築のキーマン 齋藤修一

 地域の独居高齢者を見守るために自治体はいかに連携し、支援の枠組みを構築していけばいいのか。10年かけて「品川モデル」を築いてきた地域連携の伝道師に聞いた。

品川区社会福祉協議会 品川成年後見センター所長 1950年福島県生まれ。73年中央大学法学部卒。79年品川区役所入区。総務課、企画課などを経て、03年品川区社会福祉協議会派遣。11年より品川成年後見センター所長。内閣府成年後見制度利用促進委員会臨時委員などを歴任。
(写真・MASATAKA NAMAZU)

編集部(以下、――)自治体は何から始めればいいのか

齋藤:まずは後見制度を必要としている人たちが地域のどこにいるのか、その把握から始めることだ。

 現状は後見制度について潜在的な後見ニーズに応えられているとは言いがたい。早期にニーズを発見し、本人が意思表明できる段階から支援につなげていくことが重要だ。

 多くの自治体が認知症の高齢者を発見しても介護施設や医療施設に入所させるところまでで支援を止めてしまっている現実がある。施設に入所した後も、金銭の支払いや契約の更新などが必要となってくるが、手続きを代行してくれる親族が周囲にいないのであれば、後見が必要だ。

─地域での連携を進めるには

齋藤:社会福祉協議会などの中核機関を作ることが欠かせない。行政が社協とタッグを組み、責任をもって関与することで、家庭裁判所は市民後見人の選任をしやすくなる。実績のあるNPO法人と連携することも有益だ。ネットワークを作ることで、様々な事例に対応できるようになる。

 このように、仕組みを作ることができれば、地域福祉の担い手を増やすことができるようになる。

 社協の内部だけで対応していると、間違った判断をしていることに気がつかない。そのような意味でも外部の有識者を交えた協議会という場を設定する意義は大きい。

─社協の人材をどう育成しているか

齋藤:職員一人ひとりが、成年後見制度が何のための制度かを理解しなければならない。あくまでも本人本位の制度であり、それこそが判断の基準になるからだ。また、職員を養成するという目的から「運営委員会」など専門家を交えた委員会にはすべての職員を参加させ、他人の扱っている事例を聞かせたり、対応の仕方を学ばせたりすることでノウハウの共有化を図っている。第三者に自分の扱っている事例を、短時間で伝えるのも良い訓練になる。

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