世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月17日

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 第二次シェール革命とは、技術進歩や経営の合理化により米国のシェール産業のコスト削減が劇的に削減され、油価がバレル50ドル、あるいは場合によってはそれ以下でも、採算割れにならなくなったことを意味します。その上米国ではさらに多くの埋蔵量が確認され、今や世界の石油の供給が需要を上回る構造的変化が起きたと言います。これまでは一般にシェールオイル・ガスの最盛期は20年ほどと言われてきましたが、大規模埋蔵量の確認は、その予測をくつがえすものです。新しい予測が正しいとすれば、今後長期にわたり油価は頭が抑えられるでしょう。

地政学的影響は大きい

 また、その地政学的影響は大きいものがあります。米、中、露の三大国に関しては、このような状況は米、中には有利に、露には不利に働くことになります。

 まず、米国は、石油とガスでほぼ自給体制を確立し、中東への依存度、したがって中東への関与はさらに減るでしょう。比較的安価なエネルギー源の確保は、米国経済の追い風となるでしょう。

 中国は石油の供給の多くを輸入に頼っているので、油価の低迷は中国経済にプラスとなります。石油の輸出に頼るロシアは、油価の低迷により財政的窮状が続けば、国内経済情勢がさらに悪化し、対外的介入により慎重にならざるを得ないかもしれません。

 その他の産油国も軒並み深刻な影響を受けます。サウジアラビアは、「ビジョン2030」として示された、石油依存軽減策を中心とする経済、社会改革に、より真剣に取り組む必要があります。

 他方、石油の消費国にとっては油価の低迷は朗報であり、日欧のみならず、産油国でない新興国、途上国の経済発展にプラスとなるでしょう。 

 論説は、これから長期にわたり、不安定な状況が続くと言っています。これは特に産油国に当てはまるでしょう。産油国にとって、長期にわたる油価の低迷は深刻であり、その対応は容易ではありません。経済的困難にとどまらず、政治的混乱を招きかねません。

  
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