今月の旅指南

2010年8月5日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

 長良川上流の豊かな緑に抱かれた水の町、郡上八幡〔ぐじょうはちまん〕。古い町並みに水の音が涼やかに響く、この静かな城下町に、今年もまた、郡上おどりの“熱い季節”がやってくる。

 踊りは、7月中旬から9月初旬までの約2カ月(今年は7月10日から9月4日までの33夜)にわたって繰り広げられる。

お囃子の屋形を囲んで、熱気あふれる踊りの輪が広がる

 

  「日本一ロングランの盆踊りで、郡上八幡の夏は、踊りとともに始まり、踊りとともに終わるといわれるほど。しかも8月13日から16日までの盂蘭盆会〔うらぼんえ〕の4日間は、夜を徹して踊り明かすんですよ」

 と話すのは、郡上おどり保存会会長の藤田政光さん。地元の人はもちろん、全国から訪れる多くの観光客が踊りの輪に加わり、町じゅうが踊り一色に染まるという。

 踊りは全部で10種類。最初はゆったりとした動きの「古調かわさき」「かわさき」で始まり、軽快な「春駒」「三百」、落ち着いた調子の「やっちく」、クライマックスの「げんげんばらばら」から「猫の子」「さわぎ」「甚句」へと続き、最後はまたゆったりとした調子の「まつさか」で終わる。

 「踊りの配列は、スポーツ科学の観点からも合理的であると証明されています。郡上おどりが徹夜でも飽きず、疲れず、延々と踊り続けられる理由はここにあるそうですよ」

 しかも、振り付けは比較的簡単で、初めての人でも見よう見まねですぐに踊れるようになるという。

 そもそも郡上おどりは、寛永年間(1624~44年)に、郡上藩主の遠藤慶隆〔よしたか〕が、領民の融和をはかるため、身分や性別を問わず一緒に踊らせたのが始まりだといわれる。郡上おどりが「見る祭りではなく、踊って楽しむ祭り」といわれ、だれでも気軽に踊りの輪に加われるのは、そのルーツに因るのかもしれない。

 「郡上の八幡出てゆく時は、雨も降らぬに袖しぼる……」

 笛、太鼓、三味線のお囃子に合わせて唄われる小粋な郡上節。音頭と手拍子、下駄の鳴る音に包まれて、真夏の夜を一心不乱に踊り通せば、いつかしらじらと夜が明け、川の瀬音が静かによみがえってくるだろう。

 
 
 
 

郡上おどり
〈開催日〉2010年7月10日~9月4日までの33夜。徹夜おどりは8月13~16日
〈会場〉岐阜県郡上市・八幡町各所(長良川鉄道郡上八幡駅下車)
〈問〉郡上八幡観光協会 0575(67)0002
  http://www.gujohachiman.com/kanko/

◆ 「ひととき」2010年8月号より

 

 

 


 


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