世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月1日

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 ワシントンポスト紙コラムニストのロウギンが、5月7日付の同紙で、トランプ政権が、中国に配慮して台湾武器売却計画案の承認を止めていることを批判しています。主要点は次の通りです。

(iStock)

 米国は約40年にわたり台湾防衛にコミットしてきたが、トランプ政権はそれを確認しようとしない。武器売却計画案が宙に浮いており、関係者はトランプが中国に対し更なる一方的譲歩をしようとしているのではないかと懸念している。

 相対的に小規模の売却案は2016年後半には実施される筈だったが、オバマ政権が決断しなかった。総統と電話会談をしたトランプ政権の当初の台湾寄りの政策から、この計画は速やかに実行されると思われた。しかし、中国が反発し、北朝鮮危機の解決等のために、計画は止まったままである。

 政府や議会内の売却支持派はトランプ政権が対価を得ないで中国に譲歩し、台湾の民主主義を危うくしていると述べている。ロイス下院外交委員長は台湾関係法とレーガンの「六つの確約」の下でのコミットメントを守ることが重要であるとする。1979年の台湾関係法は台湾に対し防御的性格の武器を供与すると規定しており、1982年のレーガンの「確約」はこの台湾支援に終了日はなく、また支援について中国と協議しなければならないものではないと規定している。
4月の米中首脳会談の後、トランプ政権は武器売却案を速やかに承認し、議会に通報するものと考えられた。しかし、承認の遅れは、懸念を増幅させている。トランプは、北朝鮮問題で中国の支援が必要だと述べた。

 一つの可能性はこの機会に限定的な現行案に一層強力な武器を含めることである。台湾は例えばF-35の入手に関心を持っている。しかしこれは問題を大きくし更に支援を遅らせることになるかもしれない。他の考えは支援案を小規模にして実施し、トランプ政権の台湾コミットメントを再確認するというものである。多くの関係者は台湾支援を元のように定期化して毎年要請を検討し実施することにすべきだと主張している。

 トランプ政権がこれらのどの道を選ぼうとも議会は支持する状況にある。ガードナー上院外交委員会東アジア小委員長はいかなる支援策でもそれを支持すると述べている。ガードナー達は昨年蔡総統に会った際、国防費をGDP3%に引き上げるよう圧力をかけたが、米国が支援しないのであればその要請は空疎なものになる。また蔡がその目標を達成しても台湾単独では中国の軍事費拡大には付いていけない。

 米国は中国に対して、北朝鮮問題に係る不確かな約束と引き換えに台湾コミットメントを犠牲にすることはできないと伝えるべきだ。中国が北朝鮮問題の解決は自国の利益になると考えるのであれば、台湾への武器売却は関係ないはずだ。トランプ政権は目先の希望のために長期的な目的を犠牲にすべきでない。中国との間には常に緊急の問題が起きるだろう。しかしレーガンがきちっと理解したように、米国の台湾防衛コミットメントは取引材料として譲歩するには余りに重要である。

出 典:Josh Rogin ‘Taiwan arms deal in limbo as Trump courts China’ (Washington Post, May 7, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/taiwan-arms-deal-in-limbo-as-trump-courts-china/2017/05/07/37ee5654-31ba-11e7-8674-437ddb6e813e_story.html?utm_term=.35f9d3a00121

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