中国メディアは何を報じているか

2017年5月26日

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 一大政治イベント十九大(次期最高指導部の決まる共産党大会)を半年後に控え、権力闘争が過熱する中国。その過熱ぶりは海外メディアを巻き込んでの情報戦に発展している。台風の目になっているのは、汚職の嫌疑をかけられ米国に亡命中の実業家・郭文貴氏だ。

政商の「核爆弾級」暴露

王岐山(左)と習近平(写真:ロイター/アフロ)

 郭氏は米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に4月19日に出演(https://www.voachinese.com/a/issues-and-opinions-20170419/3816655.html)。「核爆弾級の暴露」として、習近平国家主席と同じ「太子党」で党内の実質ナンバー2ともされる王岐山(党中央規律検査委員会書記)の親族の腐敗ぶりについて証言した。加えて、公安省の現役次官から指示されて海外の王氏の親族の資産について調査したと証言。その調査に習氏の意向が働いている可能性にも言及した。

 反腐敗運動を取り仕切る王氏に関する汚職疑惑、しかも盟友のはずの習氏との間の対立まで暗示する内容とあって大騒ぎになっている。68歳の王氏は慣例からすると引退のはずだが、太子党の勢力維持のために党大会では慣例を破って要職に就くのではという予測もある。ただ、郭氏による暴露はそれをひっくり返しかねない内容だ。

 しかも、3時間のはずの番組が1時間ほどで理由を明かさないまま急きょ打ち切り。前日の18日には中国の要請を受けた国際刑事警察機構(ICPO)が郭氏を指名手配していることも考え合わせると、中国政府が郭氏に対してかなり本気の対応をしていると見受けられることから、証言の信ぴょう性が高いのではと見る向きもある。

 郭氏は北京オリンピック開催前の開発事業を手掛け、大富豪になった。政商として暗躍するも、関係の深かった国家安全副部長の馬建(2015年に失脚)に対する贈賄が罪に問われるとみて14年に国外逃亡している。疑惑にまみれた人物による暴露の意味はいったい何なのか。憶測が憶測を呼ぶ状況下でのメディアの報道ぶりを紹介したい。

 中国大陸のメディアでは、当然ながらVOAのインタビューの内容は報じられていない。ただ、4月18日を境に郭氏に関する報道は激増。ネガティブキャンペーン一色になっている。

大陸メディアは郭氏の人格否定

 まずはCCTV、人民日報などが中国外交部の報道官が記者会見で話した内容に基づき、ICPOが郭氏を国際指名手配したと報道。その後は、郭氏の部下に対する強姦疑惑、周永康の腹心で河北省の政法委員会書記の張越氏(2016年に失脚)に女性をあてがった話、河北の「法政王」とも呼ばれた張越氏にいかに高圧的な態度をとっていたかなどが報じられている。いずれも郭氏の非道ぶりを伝え、人格を否定する内容だ。

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