サムライ弁護士の一刀両断

2017年6月15日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。
東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。
以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

 JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)は、6月7日、使用料(いわゆる「著作権料」)の徴収に関する使用料規程の改訂を文化庁に届け出たと発表しました。

 改訂後の使用料規程によると、2018年1月1日以降、音楽教室が、教室内でJASRACが管理する楽曲を演奏したり、録音したものを流したりする場合、受講者数と受講料金額に応じた使用料を支払わなければならないとされています。

 使用料規程の改訂に向けた一連の動きに対しては、音楽教室を中心とする事業者側は強く反発しており、ヤマハ音楽振興会などの複数の事業者が発起人となって「音楽教育を守る会」が設立されました。現在、音楽教室や楽器メーカー、楽器店など300を超える事業者が会員として参加しています。

(IStock)

 また、「守る会」は、5月30日の総会で、JASRACに対して使用料の支払義務がないことの確認を求める訴訟を提起することを決定しました。今後、7月を目途に訴訟を提起するための準備に入ったことを発表しています。

 現在、「音楽教室内の演奏なども使用料を支払う義務がある」とするJASRAC側と、「支払う義務はない」とする事業者側で、主張が真っ二つに分かれる格好となっていますが、果たしてどちらに分があるのでしょうか。

JASRACの役割は、権利者と利用者の利害の調整

 JASRACの使用料は、どのような場合に支払う必要があるのでしょうか。まずは、JASRACがどういう団体かを簡単に解説します。

 JASRACは、作詞者、作曲者、レコード会社などの音楽関係の著作権者から委託を受けて、権利者に代わって著作権を管理する団体です。

 たとえば、作曲者が新曲を作った場合、その曲を自分の著作物として扱うことのできる権利(著作権)が作曲者に発生します。ある曲に著作権がある場合、権利のない者が権利者に無断でお金を取って演奏したり、録音したものを流したり、放送したりすることはできません。また、権利者は、誰かが無断で自分の曲をコンサートなどで演奏しようとしているのを見つけた場合、「演奏を中止するか、適正な使用料を支払いなさい」と要求することができます。

 もっとも、不正利用に対して作曲者が個人で使用の中止を求めたり、使用料を請求したりするのは大変です。また、楽曲を利用する側としても、毎回、権利者に承諾を得なければならないとなると大変でしょう。権利者と連絡先が分からないような場合には、利用しようとしてもできないということにもなりかねません。

 両者間のそうした利害を調整するため、音楽などの一定の著作物については、そういった権利者と利用者の間の利害関係を調整するため、著作権者から委託を受けて管理する団体が設立されることがあります。JASRACは、音楽に関する著作権管理団体として、日本最大の組織です。

 具体的な仕組みとしては、作詞者・作曲者といった権利者が楽曲等の著作権の管理を管理団体(JASRAC)に委託し、委託を受けた管理団体が権利者に代わって使用料を徴収し、一定の基準で権利者に分配されます。

 こういった仕組みは、権利者側にメリットがあるだけではなく、音楽を利用する側にとってもメリットがあります。「使用料さえ支払えば、いちいち確認を取らなくても利用可能」とすることで、音楽をスムーズに利用できるからです。

 権利者を守るとともに、利用者のスムーズな利用を促すことで、音楽文化の発展に貢献するというのが、JASRACの本来的な役割です。

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