WEDGE REPORT

2017年6月20日

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「天ぷらナイト」


 10年以上も前から、これからは外国人宿泊客が大事な客になるとして積極的に受け入れてきた。当時は「インバウンド」という言葉もなく、どちらかというと外国人客を敬遠していた時代だった。客室には風呂がない部屋もあったので外国人の宿泊は埋まらなかったが、5年前に風呂のない部屋に全室シャワーを設置したことで外国人を多く泊めることができるようになり、稼働率が大幅に向上した。 1人でも新規採用をするのは難しい小規模旅館で、今年は正社員を4人採用したという。高卒2人、専門学校卒1人に加え、大卒の中国人1人も採った。宿泊者の3~4割は修学旅行生で残りは一般客だが、平日は大半が外国人だという。その多くが中国、韓国などアジア人だ。フロント係など大半の従業員は英語が話せるように自分で勉強したという。客室係も簡単な英語は話すことができ、分からない場合はタブレットを使って理解できる係に尋ねる。

 だが、外国人は宿泊をしても、旅館で飲食をしない客が多いのがネックになっていた。旅館にしてみれば飲食でお金を使ってくれないと、稼働率は上がっても売り上げ増につながらない。そこで旅館の大広間を使って、外国人宿泊客をターゲットに夏場の火曜日の夜に天ぷらの実演・会食を行う「天ぷらナイト」を3年前に企画、これで外国人の飲食を伸ばそうと試みた。外国人にはそれほど受けなかったが、「美味しい天ぷらが居酒屋の雰囲気で食べられる」として逆に日本人客に大受けし、「天ぷらナイト」はこの地域の夏の有名イベントにまでなっているという。

 京都の小規模旅館は事業継承ができなくて、外資に買収されるなど、長年続いてきた店を閉めざるを得ない事例が多いという。「綿善」は今年の春にゲストハウスをオープンするなど、新たな展開もしようとしている。同じ経営環境の中で新境地の開拓に成功した事例は、ほかでも使えるノウハウが詰まっているため、成功事例をパッケージ化する試みもされようとしている。 

  
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