WEDGE REPORT

2017年6月26日

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 創業から120年以上続き、ジャック・ウェルチをはじめ数々のリーダーを輩出してきたGE(ゼネラル・エレクトリック)。そのGEが人事評価制度を改めようとしている。

――世界の人事担当者から人事評価のモデルとされていた「9ブロック」を廃止するなど、人事制度改革を進めた背景は

熊谷昭彦(くまがい あきひこ) GEジャパン 代表取締役社長兼CEO GEコーポレート・オフィサー(本社役員)を兼務。1956年兵庫県生まれ。79年カリフォルニア大学ロサンゼルス校経済学部卒業。三井物産を経て84年ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE)入社。(写真・Wedge)

 時代の変化を実感したことが発端だ。特にITの発展など、加速度的に世の中は変化しており、当社のビジネスモデルも改めなければならないと感じてきた。このままではグーグルやアマゾンなどのソフトウェア・カンパニーに、我々ハードウェア・カンパニーが下請け的に利用されるだけになり、まさに「おいしいところだけ持っていかれてしまう」という危機感があった。

 こうしたビジネスモデルの転換を図るために、人事制度においてもシリコンバレーのIT企業をベンチマークとし、大なたを振るった。彼らは人事評価などの硬直的な仕組みに縛られていない。我々も新たな人事制度を構築して然るべきだと考えた。

 重要なのは若い世代が何を考えているかを知ることであり、何にモチベートされるかを検討した結果、業績の達成度と価値観によって、9つに区分けして点数化した旧来の評価方式「9ブロック」を廃止して、より個人の内面や今後の成長を考慮した定性的な評価制度に改めるべきだと考えた。今の若手は点数で評価するとモチベーションを落としてしまう。そうではなく仕事の具体的な内容と行動を評価して、存在価値を認めてあげると非常にモチベーションを感じてもらえる。何でも数値化する「メトリックカルチャー」が変わり、数字で表せないものを大切にするようになってきた。

――どのように定性的に評価するのか

 リーダーは担当するチームの組織図とメンバーの顔写真を用意して、上司と各メンバーのポテンシャルや内面を理解するために対話を重ね、評価に生かしている。最も重要なことは、その社員をいかに育てるか、そのためにリーダーや会社がどんな育成計画をたてるかで、本来の目的を達成しやすい形式にしたのだ。

――実際に変えてみて、反応はどうか

 昨年から本社でも本格的に運用しているが、現場では未だに戸惑いがある。今年の2~3月が初の新制度によるボーナスの査定だったが、全く点数化しないので「どうやって差別化を図ればいいのか」との声は多かった。もちろん業績目標を達成したかどうかも依然として評価の大きな部分だ。

――新評価制度の効果は出たか

 「フレクシビリティ(柔軟性)」を取り入れた。当社は年初に業務の「優先順位」を決めるが、ビジネス環境が変われば、その優先順位を年度の途中で変えることができる。多い社員だと月1回は上司と面談をする。日々、環境変化が激しい中では、年初に同意したものに固執しても奏功しない。

――リーダーの育成に重きを置いている点は何か

 「公正さ(インテグリティ)」が全ての基盤であるという理解が必要だ。どんな戦略や目標もその基盤の上にあるということを当社では徹底している。不正を犯した社員には厳しく対応し、情状酌量は一切しない。ただ、新人とそれ以外で不正への対応が異なる。教育を十分に受けていない新人には教育を施すが、2度目はない。一方、ベテラン社員が意図的に不正を犯した場合は、辞めてもらうこともある。

――熊谷社長は不正への対応も経験したか

 これほど辛いものはない。日本法人で特徴的だったのは、「会社のために良かれと思って」不正に手を染めるというケースが多かったことだ。しかし、あらゆる不正は会社のためにならない。

――リーダーは「見つけるもの」か、それとも「育てるもの」か

 育てるものだ。新しいことに挑戦させ、気付きを与えることで、モチベーションを維持させる。モチベーションが持続できる組織は必然的に不正も起こらない。
 

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  ・冨山和彦(経営共創基盤CEO)「エリートが招いた東芝問題 経営者育成を抜本的に変えよ」
  ・坂本幸雄(元エルピーダメモリ社長)「国家的損失生む大企業の人事制度 今こそ40歳代定年制を検討せよ」
  ・ 松本 晃(カルビー会長兼CEO)「トップが既得権を捨てないと次の経営者は育たない」
   ・ 熊谷昭彦(GEジャパン社長兼CEO)「GEがグーグルに抱く危機感 人事改革で新ビジネスに挑む」
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