世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月26日

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、トランプのサウジ訪問について「トランプの中東リセット。訪問は米・サウジ同盟を生き返らせ、イランにメッセージを送る」との社説を5月21日付けで掲載し、この訪問を評価しています。要旨は次の通りです。

(iStock)

 イランでロウハニ大統領が再選される中、トランプ大統領は5月21日サウジを訪問した。これは偶然のタイミングであるが、象徴的でもある。イランが中東支配の意図を再確認する中、トランプはスンニ派アラブ諸国との伝統的な同盟を生き返らせている。

 バラク・オバマは丸8年間、イランに傾いていた。オバマは、湾岸諸国、イスラエル、エジプトとの関係を軽視し、ずっとイランとの核合意を追求してきた。トランプはこの傾向を逆転させようとしている。

 今回のイランの大統領選挙では、憲法擁護評議会が多数の候補を資格なしとし、残った6人の候補はハメネイと革命防衛隊が許容する狭いイデオロギーの枠内にあった。ロウハニは西側で穏健派とされるが、国内弾圧や地域での侵略を行っている。

 ロウハニは2015年の核合意を多分尊重するだろう。制裁解除で聖職者はお金の面で一息ついている。しかし弾道ミサイル開発や核開発技術を秘密裏に進める可能性がある。

 オバマの期待に反し、核合意はイランの米国への敵意や地域支配企図を変えなかった。革命防衛隊はシリアでアサド、イラクでシーア派民兵、レバノンでヒズボラ、イエメンでホーシー派を支援している。イランは湾岸諸国を正統性のない政権と見ている。米国だけがイランの野心を止められる。

 トランプのサウジ訪問では、米国との同盟が強調された。地域のアラブの首脳会議が行われ、1110億ドルの武器購入と対米投資が発表され、米国とイスラム世界との関係についてトランプが演説する機会も作られた。

 米・サウジは「共同戦略ビジョン宣言」を発出、「統合された地域安全保障構造」を呼び掛けた。サウジはまた「過激主義に対する戦いのための世界センター」設立を発表した。

 5月21日のトランプの演説は穏健イスラム国との「パートナーシップ」を呼びかけるもので、和解的であった。選挙期間中の(反イスラム)発言はどこかに消えていた。

 トランプはイランを「イスラエルの壊滅、米国の死、アラブの指導者の破滅を誓っている」と指摘、イランが「平和のパートナーになるまで、イランを孤立させ、テロへの資金を断ち、イラン国民が正義の政府を持つ日のために祈るべし」と述べた。

 湾岸諸国はこれで安堵しただろう。サウジは不完全な同盟国であるが、中東での米主導秩序のかなめである。31歳の副皇太子はまじめな近代化論者であり、彼が成功するように米国は助けるべきである。

 8年間の米国の中東における信頼性の低下は1回の首脳会議で逆転させられないが、トランプのサウジ訪問は良いスタートになった。

出典:‘Trump’s Middle East Reset’(Wall Street Journal, May 21, 2017)
https://www.wsj.com/articles/trumps-middle-east-reset-1495403945

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