ベストセラー『日本人の忘れもの』でおなじみ、文化勲章受章の著者が、近現代の名作小説と、日本の風土との「契約」を解き明かす旅に出る
「日本のすぐれた作家は逆に、風土を凝視することによって風景を読みとり、それを小説の原風景として風土の孕みもつ物語を構想するのに、違いない。 当然、風土は実在するが、そこから産み出された物語は事実を離れ、独自の装置を要求しながら自立した舞台を展開する。 創造するわざよりも、作家が風土から小説をたち上がらせる行為、その風土と作品との深奥の契約にこそ文学論は有効なのではないかとわたしは思う」(あとがきより)。 「ひととき」の人気連載、待望の書籍化。
一般社団法人日本学基金理事長。文学博士、文化功労者、平成25年度文化勲章受章。日本文化、精神史の研究・評論活動で知られる。日本学士院賞、菊池寛賞、大仏次郎賞、読売文学賞、和辻哲郎文化賞ほか受賞多数。著書に『日本人の忘れもの』①~③『万葉を旅する』(ともにウェッジ)、『こころの日本文化史』(岩波書店)、『中西進と歩く百人一首の京都』(京都新聞出版センター)、『辞世のことば』(中公新書)、『ひらがなでよめばわかる日本語』(新潮文庫)、『万葉集 全訳注原文付』(全5巻/講談社文庫)、『万葉の秀歌』『日本神話の世界』(ともにちくま学芸文庫)ほか多数。