2005年は最初の勅撰和歌集『古今集』が編纂されてから1100年、第8番目の勅撰和歌集『新古今集』からは800年目に当たる節目の年です。平安朝の古典文学への関心が高まりを見せているこの時期、在原業平から後鳥羽院に至る平安・鎌倉期の巨人たちの足跡を辿った本書は、日本の歴史と古典文芸への理解を深めるための最適の入門書といえるでしょう。
在原業平という実在の人物は『伊勢物語』のなかでどのように虚構化されていったのか、さまざまな写本によって伝えられる『平家物語』は民衆たちのどのような思いを反映したものなのか、武士の台頭してきた時代にあって大天狗と謳われた後白河院はどのように身を処したのか、そして隠岐島に配流された天才歌人・後鳥羽院が抱いた「見果てぬ夢」とは何だったのか--。本書によって、いままでの歴史の見方が一変するかもしれません。
本書は、毎回千名以上の聴衆を集めて開催される歴史講演会「講座 歴史の歩き方」を書籍化したものです。斯界の第一人者による講演と、絵巻物・屏風・名所旧跡の写真、等々をカラーで掲載した解説とで構成しています。