パトリ 〈祖国〉の方へ

一九七〇年の〈日本発見〉

柴崎 信三
パトリ 〈祖国〉の方へ
パトリ 〈祖国〉の方へ
一九七〇年の〈日本発見〉
柴崎 信三

「豊かな社会」へ向かう熱気と軽躁に覆われた戦後日本に底流する、「伝統」や「歴史」への回帰を求める水脈。1970年を転回点として輪郭を失いつつある「祖国」(パトリ)のありかを探る長篇評論。

定価:2,200円(税込み)
四六判上製、264ページ
発売日:2013年 2月20日
ISBN:978-4-86310-107-4
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「パトリ」とは、郷土、祖国などを意味するフランス語。もとは父親を意味するイタリア語が語源だともいう。近代的な〈国家〉が成立する以前から人々の心に連綿と伝わる「原郷」を意味する言葉。
1945年の敗戦から、四半世紀の戦後復興の時代を経た1970年、日本の社会は一つの転回点を迎えていた。68年の学生運動の嵐から72年の沖縄返還にかけて社会は激動の渦の中にあった。それは、日本の〈あるべき姿〉を求める大衆のエネルギーが巻き起こした渦でもあった。
それから40年余の歳月を経た現在、日本という国のかたちは茫洋として捉えどころがなくなりつつある。本書は、1970年にさかのぼり、三島由紀夫、川端康成、岡本太郎、丸山真男、司馬遼太郎、田中角栄、團伊玖磨、本田宗一郎、美智子皇后、村上春樹といった時代のイコンを通して、彼らの懐いていたパトリ(祖国)のイメージをさぐる。
これは現在の日本人にとっての〈オンリー・イエスタデイ〉の物語である。

著者プロフィール
柴崎 信三 (しばさき しんぞう)

1946年生れ。慶応大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。社会部記者、同部次長、文化部長などを経て、論説委員兼編集委員を務める。2007年退社。現在、獨協大学、白百合女子大学、文化学園大学などで教鞭をとる。著書に『魯迅の日本 漱石のイギリス』『絵筆のナショナリズム』、共著に『新メディア社会の誕生』『日記をのぞく』ほかがある。

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