<好評2刷>(2008年4月)
広大な夜空に輝く星のどこかに、宇宙人が棲息しているのではないかという憶測は、前世紀から多くの人々の興味をひいてきました。
古くはH・G・ウェルズの小説『宇宙戦争』から、スピルバーグ監督の映画『未知との遭遇』、キューブリック監督による『二〇〇一年宇宙の旅』など、「地球外知的生命」をテーマとした文学・映画作品が長らく人気を博してきたことからも、人々をひきつけるその魅力の大きさは窺うことができるでしょう。
本書は、こうした地球外生命体探査のフロンティアとして活躍する研究者が、その魅力をわかりやすく解説するものです。
第一章では、われわれの地球が位置する太陽系内の探査について紹介します。旧ソ連のスプートニク1号が、人類初の探査機として宇宙に飛び出してから半世紀、現代は、人間の開発した探査機が太陽系を飛び回ることができるまでの時代となりました。太陽系はいま、どこまで明らかになっているのでしょうか。
第二章では、太陽系の外側に広がる銀河系に焦点を当て、太陽系外探査の歴史と展望について解説します。一九九五年を境に多くの「系外惑星」が見つかっていますが、これらはわれわれの知る「惑星」とは形状も性質も大きく異なる、異形の惑星たちでした。「第二の地球」は本当にあるのか、いま研究者たちはこの問いに挑み始めています。
第三章は、SETI(宇宙を飛ぶ電波を受信し、その発信元として知的生命が存在していないかを探る電波天文学の探査方法)の歴史と展望から、知的生命発見の可能性を探ります。
第四章では、インフレーション宇宙理論の提唱者のひとりであり、世界的なスケールで宇宙論を牽引する佐藤勝彦氏が、宇宙における人間とはどのような生き物としてあるべきかを問いかけます。
本書を読めば、宇宙はもっと身近なものになるはずです。そして、宇宙のなかの一生命体として、高度な文明を持った人間はどのように生きるべきかを考える一助となるでしょう。