<食>は病んでいるか

鷲田 清一
<食>は病んでいるか
<食>は病んでいるか
鷲田 清一

「食」という行為を通して人間の心の闇、文明の綻びを透かし見る

定価:1,320円(税込み)
B6判並製、202頁
発売日:2003年 5月31日
ISBN:978-4900594630
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<好評4刷>(2006年10月)

「誰からも愛されないのに、自分はどうして生きているんだろう?」
「自分はどうして生き続けようとして食べるんだろう?」
若者を中心に摂食障害が広がりを見せている。文明の進化は、生理という基本的部分を徐々に狂わせつつあるのだ。

自分の存在の確かさや意味を、自己と他者との関係性の中から見出さざるを得ない人間。〈食〉もまた、きわめて観念的・社会的なものである――だからそれは、ときに狂おしいかたちをとる。
空腹を満たすのか、それとも空疎な心を満たすのか? 哲学者・鷲田清一が〈食〉の現在を通して、人間の心の闇と転換期の文明のあり方をあぶり出す。
その他に、大平健(精神科医)、山極寿一(人類学者)、中沢新一(宗教学者)の論考を収め、人間の〈食〉の足どりをたどりながら、その問題点を多角的に考察する。

また本書では、三國清三(料理人)と松井孝典(地球物理学者)を迎え、〈食〉の現場で起こっていることを検証し、「食べる」という行為の意味を、ディスカッションによって明らかにしていく。

著者プロフィール
鷲田 清一 (わしだ きよかず)

大阪大学大学院文学研究科教授。1977年京都大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了。関西大学文学部哲学科教授などを経て、現職。現象学の視点から、身体、他者、所有、顔、モード、国家などの問題を論じるとともに、近年は、看護・介護や教育などの現場に哲学を通してかかわる〈臨床哲学〉に取り組んでいる。著書に『ちぐはぐな身体』(筑摩書房)、『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書)、『「哲学」と「てつがく」のあいだ』(みすず書房)、『死なないでいる理由』(小学館)など。『分散する理性』(勁草書房)、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫)でサントリー学芸賞、『「聴く」ことの力』(TBSブリタニカ)で桑原武夫学芸賞を受賞。

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