世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月7日

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 イスラエルBar-Ilan大学のシニアフェローのマックス・シンガーが、8月3日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙で、米国はサウジが過激派イスラムの輸出を減らすよう提言すべきである、と述べています。要旨は以下の通りです。

(iStock.com/RomanSotola/bwb-studio/Manuel-F-O)

 サウジは過去40年間、年40億ドルを使って、過激なサラフィ・イスラム(注:穏健なイスラム教徒が不信心者であると考える過激派スンニ派の思想)を輸出し、その結果世界の過激派イスラムの人口は急増した。

 サウジの計画はテロを教えたり、テロ組織を育てたりはしないが、ムスリム同胞団のようなイスラム主義者への支持を強めた。ムスリム同胞団は、イスラムは不信心な西側と戦わなければならないと言っている。

 サウジがワッハーブ派のサラフィズムの輸出に多額の金を使っているのは、1)1979年のイラン革命後、シーア派が過激派イスラムを支配することを恐れ、スンニ派が対抗する必要があると考えた、2)サウジの政治の基礎が、サラフィズムを信条とするワッハーブ派の僧侶との長年の同盟にある、ためである。

 トランプ政権がサウジに過激なサラフィ・イスラムの輸出計画を止めさせるのは無理としても、米国がイランのシーア派の挑戦に対抗すべくサウジと協力している今、新皇太子を含むサウジの新しい指導者が、この計画を多少縮小する可能性はあるかもしれない。新しい指導者は、この計画の影響につき、すでにある程度疑義を持っているかもしれない。

 米国は、サウジがインドネシアとインドのイスラム指導者やモスクへの資金提供を止めることが、両国のためであると提言すべきである。インドネシアとインドのイスラム人口は4億人以上で、世界のイスラム人口の4分の1に近い。今のところ彼らは過激化されていないが、過激派は両国に浸透しつつある。

 もしインドネシアとインドで穏健派イスラムが成功すれば、イスラム世界は過激主義や紛争ではなく、平和と近代化を選ぶことになるだろう。

 ほとんどの人は、インドネシアとインドのイスラムの過激化は、サウジの莫大な資金が無ければ起こらないと考えている。米国は、サウジがインドネシアとインドへの資金提供を止めれば、いずれ穏健派イスラムが勝利すると、サウジを説得すべきである。「中東フォーラム」のダニエル・パイプス所長が長年言っているように、「過激派イスラムが問題で、穏健イスラムが解決である」。

出典:Max Singer ‘How the Saudis Can Promote Moderate Islam’ (Wall Street Journal, August 3, 2017)
https://www.wsj.com/articles/how-the-saudis-can-promote-moderate-islam-1501800693?mg=prod/accounts-wsj

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