坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2017年9月29日

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 この30年のITの進化によるデジタル革命とグローバリゼーションにより、産業構造は大きく変わった。そんな中、東芝に代表されるような日本の多くの優良メーカーがその変化に対応できず、かつての栄光を失っている。
 経営危機に瀕した半導体メーカー大手「エルピーダメモリ」のCEOとして数多くの技術者と接してきた坂本幸雄氏と、元ソニー副社長でプレイステーションの生みの親である久夛良木健氏が、経営者、技術者の2つの視点から日本メーカーの進むべき道筋を語る。

左:坂本幸雄(Yukio Sakamoto) 日本体育大学卒業後、日本テキサス・インスツルメンツに入社し、93年に副社長。神戸製鋼所等を経て、02年にエルピーダメモリ社長。現在、サイノキングテクノロジーCEO。
右:久夛良木 健(Ken Kutaragi) 電気通信大学電子工学科卒業後、ソニーに入社し、99年にSCE(ソニーコンピュータエンタテインメント)社長、03年にソニー副社長。現在、サイバーアイ・エンタテインメントCEO。

編集部(以下、――):ITの進化で技術進歩のスピードが速まり、短いサイクルでのイノベーションが求められています。日本メーカーはどう対応すべきでしょうか。

坂本:イノベーションを生み出すには、技術者が実力を発揮しやすい環境を整えることが重要だ。彼らにもっと権限と自由度を与える必要がある。多くの日本企業は製品開発の方向性を決定するような重要な会議でも、「現場から遠い」経営陣や部長クラスが大方針を決定し、職場に戻って実際に開発を担当する技術者に「こういう方針に決まったから、それに沿ってやってくれ」と伝達するケースが多く見られる。

 現場に最も精通し、専門的な知識、経験を有している技術者に権限がなければ、非合理であるうえ、間違った判断を下してしまう可能性すらある。久夛良木さんが家庭用ゲーム機・プレイステーション(PS)を開発した当時は、その開発において全権委任されていたと思うが。

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