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2017年11月10日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所チームリーダー 

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。12年4月より現職。

(iStock/sh22)

イデオロギー・ファーストからイデオロギー・フリーへ

 最近、若者の保守化、自民党支持の強さが指摘されている。

 表1からは、冷戦構造の崩壊以降、自らを革新と考える者の割合は趨勢的に減少傾向にあり、相対的に見れば、日本は保守化していることが分かる。

 長期的に見れば、コアな保守層(自らを「保守的」と考える者)は、1990年の19.5%から2016年の9.5%まで10ポイント減少するなど減少傾向にある一方、ライトな保守層(自らを「やや保守的」と考える者)が増加している。それに対して、革新勢力は大きく増加することも減少することもなく、ほぼ横ばいで推移している。こうした中、保守でも革新でもない中道層が長期的には増加している。具体的には、冷戦崩壊直前の1990年には38.4%に過ぎなかった中道層は2014年には7ポイント増の45.5%と、保守、革新が割合を減らしているのとは対照的となっている。

 足元の動きを見ると、第2次安倍政権を誕生させた2012年の第46回衆議院議員総選挙を境として、ライトな保守層を主力に保守層は同年の33%を底に復調する一方、革新勢力は同19.2%をピークに退潮しつつあることが指摘できる。

 そもそも、今の若者世代の多くは、社会主義が実質的に破たんした後に生まれているうえに、経済成長が止まった世の中で成長してきているので、保守や社会主義といったイデオロギーには思い入れはないし、経済を成長させる、あるいは自分たちの実際の生活を少しでもよくしてくれるのであれば、もしくは美辞麗句ではなくあくまでも結果にコミットしてくれる政党であれば、それが白い政党でも黒い政党でもどちらでも無差別(indifferent)であるとみなしているのが実態である。このようなイデオロギー・フリーな世代を「保守」「革新(リベラル)」といったイデオロギーもしくはカビの生えた昭和的価値観のもとレッテルを貼って切り分けようとするその姿勢は時代錯誤でありナンセンスなのである。

 結局、長期的にみれば、中道層が増加しており、冷戦期のようなイデオロギー・ファーストからイデオロギー・フリーな世の中へと着実に進展している中で、足元では2012年の第46回総選挙、つまり旧民主党を主力とした革新政権から自公連立内閣への政権再交代をきっかけに、革新が勢力を減らし保守化が進行しているものと考えられる。

(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
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