使えない上司・使えない部下

2018年1月4日

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 今回は、メンタルトレーニングの研究・指導で知られる西田文郎(ふみお)さんを取材した。今年(2017年)8月に、本連載の記事「一流の嘘をつける人が「使える上司」」で西田さんを紹介したが、反響が大きかったのであらためて取材をした。

 西田さんは、経営者や会社員、プロ野球やサッカーなどのスポーツ選手、教育者などの能力開発指導に長年たずさわってきた。大脳生理学と心理学を利用することで脳の機能にアプローチし、育成する手法(SBTスーパーブレイントレーニング)はよく知られる。経営者のための「西田塾」を主宰し、全国各地での講演を続ける一方、本などを書き著す。近著に『はやく六十歳になりなさい ――[後悔しないラストチャンスの生かし方]』(現代書林)など。
西田さんにとっての「使えない上司・使えない部下」とは…。

(supershabashnyi/iStock)

「見た目」や「評判」こそが大切

 「上司が理解してくれない」と嘆く会社員がいますね。私は、サッカーやゴルフなどのスポーツ選手のメンタルアドバイザーを長年してきましたが、「監督やコーチが認めてくれない」と愚痴をこぼす選手もいます。

 このような会社員や選手は「自分はこんなに努力している」と思い込み、認められない努力を黙々と続けます。努力そのものは尊いのですが、「努力しよう」と思うと、成功はできないものなのです。自分の能力や才能だけに頼ると、ツキや運をつかみ損ねます。上司や会社、監督やコーチに認めてもらえなければ、能力や才能はないのと同じなのです。

 ほかにもいますね。「正しいことを主張しているのに、理解されない人」「努力家なのに、がんばっているという評判が立つこともない人」「優秀なのに、優秀とは思ってもらえない人」…。

 いずれも、努力するほどに悪い方向に進んでいきます。ツキや運は、他人が運んでくれることを理解していないからです。この現実を心得ているならば、成功するためには2つの方法しかありません。

 1つは、「自分に仕事をさせないと損だぞ」と上司や監督に思わせること。サッカーの本田圭佑選手などは、それをよく心得ているように私は見ています。記者会見でも、ふだんから「強さ」を演じていますね。

 もう1つは、監督やコーチに気にいってもらうこと。たとえば、同じ実績、能力で、調子も同じような選手が2人いたとします。どちらかひとりを試合に出す場合、監督は自分が好感をもっている選手を起用するはずです。これは、私が多くのプロスポーツ選手から直接聞くことでもあります。

 「実力があれば認められる」と信じ込み、ひとりで努力を続けていくと、上手くはいかないでしょう。私はこの姿勢をかたくなに変えることなく、消えていった選手をたくさん見てきました。

 スポーツ選手であれ、会社員であれ、必要なのはまずは自分のイメージづくりです。上司や会社、お客さんや取引先、監督やコーチの目に、自分がどのように映っているかを考えてほしい。「上司が理解してくれない」と嘆く会社員は、上司からの印象がよくないのだと思います。たとえば、「あんな奴は使えないからこの仕事を与えても、どうせ上手くはできないだろう」というイメージです。

 それとは逆に、上司や会社から活躍の場を与えられる人は、イメージがいいのだと思います。「この仕事は、あの社員がスペシャリティだ」という評判です。本当にこのようになる必要はなく、あくまで「見た目」であり、「評判」が大切なのです。中身ではなく、「ラッピング」です。

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