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2018年1月11日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)などがある。

苦くても食べ続けられている「亀ゼリー」

気軽に飲まれている漢方茶(iStock/chinaview)

 飲み物という点でいうと、香港の街でよく見かけるのは「涼茶」という漢方茶だ。「涼」という文字が入っているが、温かい飲み物で、体内の熱や炎症を取り除く解毒作用がある。ドリンクのスタンドといった感じで、店先で気軽にカップ1杯、飲めるものだ。苦いので私はあまり飲んだことがないが、香港では若い女性でも「今日は身体の調子がよくないので、ちょっと涼茶を飲みたい」という。「涼茶」を始め、漢方茶の多くは1杯10香港ドル~15香港ドル(約150円~220円)程度なので、毎日、出勤時や退勤時にスタンドに立ち寄って飲む、という人もいるほど生活に根づいている。中国でも同様だが、香港の人々は夏でも冷たい飲み物はほとんど飲まない。「冷たいものは身体を冷やすので健康によくない」といわれているからだ。

 もうひとつ、気軽な食べ物で身体にいいとされているのは、亀の甲羅から取ったコラーゲンと漢方を混ぜた「亀苓膏」(亀ゼリー)だ。香港や台湾観光で食べたことがあるという人もいるかもしれないが、肌荒れやシミ予防にもいいとされ、苦くて食べにくいにもかかわらず、女性に人気がある。これも街の至るところに小さな店舗があり、他のデザート類といっしょに食べられる。あまりおいしくないゼリーなのに長年食べ続けられているという点からも、いかに香港人が食事を重視し、健康を意識しているかがわかるだろう。

 「医食同源」の食生活が長寿を下支えしていることは間違いない。【後編】では香港の老人の生活習慣や運動、地域や家族とのコミュニケーションについて紹介する。隣接する中国と比べて、香港では老人の「孤食」が比較的少ないといわれ、行政による高齢者支援も進んでいる。香港の老人はどんな日常生活を送っているのか。中国でも「医食同源」の考え方はあるし、お年寄りを大事にする文化は残っているのだが、中国の平均寿命は76・11歳で、前述したランキングではなんと55位に沈んでいる。(2015年の統計)。

 香港と中国の違いは一体どこにあるのか。実情を知れば、きっと驚くに違いない。

【後編】へ続く
 

  
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