ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年4月5日

»著者プロフィール
著者
閉じる

佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

高カロリーは栄養的充足を意味しない

 食事は私たちにとって「とっても大きな楽しみ」の一つである。これは古今東西・老若男女を問わないだろう。そのため、栄養バランスとか健康寿命とかが頭に入っていても、食事をコントロールすることはなかなかむずかしい。いつも「満足するまで食べたいという」気持ちも充分に理解できる。

 しかし、半世紀前ならいざ知らず、現在では「食習慣がその人の病気を決定し、人生を左右する」ということがかなり明らかになってきた。これを無視して生活するのは、スマートなビジネスパーソンとはいいがたい。満腹することが健康を害することもある。

Stockbyte

 ここで、注意深い人は私が「満足」ということばと「満腹」という2つのことばを登場させたことにお気づきだろう。今回は食事に関する「満足感」と「満腹感」について考えてみたい。

 「腹一杯食べる」ことが大多数の人を幸せにするということに異論を挟む人は少ないだろう。私たちは、基本的には「生きるために=栄養素を得るために」食事をする。たくさん食べるということはすなわちたくさんの栄養素を得ることなのだから、満腹が幸せだということは生物学的に大きな意味がある。

 一方で、私たちは冷静に「満腹=栄養的に十分満ち足りている」とは限らないことも知っておかなくてはならない。満腹するメカニズムは複雑だが、最も大きな要素は「血糖値が上がること=高カロリーのものを食べること」によると考えられている。たぬきうどんを食べても、大福を食べても満腹はする。子どもが食事の前に甘い清涼飲料水を飲むと、食事をしたがらなくなることは多くの親が経験ずみだ。

 しかし、満腹になったからといって栄養的に充足されたとは限らない。この場合(満腹はしても栄養的に満たされない場合)には、当然のことながら(栄養的に満たされようとして)すぐにまた何かを食べたくなる。満腹はしていても、体は(脳は)満足してないのだ。これが「食べ過ぎ」そして「肥満」の原因の一つだと考えられている。肝要なことは満腹ではなく満足!

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る