2024年12月22日(日)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年4月5日

高カロリーは栄養的充足を意味しない

 食事は私たちにとって「とっても大きな楽しみ」の一つである。これは古今東西・老若男女を問わないだろう。そのため、栄養バランスとか健康寿命とかが頭に入っていても、食事をコントロールすることはなかなかむずかしい。いつも「満足するまで食べたいという」気持ちも充分に理解できる。

 しかし、半世紀前ならいざ知らず、現在では「食習慣がその人の病気を決定し、人生を左右する」ということがかなり明らかになってきた。これを無視して生活するのは、スマートなビジネスパーソンとはいいがたい。満腹することが健康を害することもある。

 ここで、注意深い人は私が「満足」ということばと「満腹」という2つのことばを登場させたことにお気づきだろう。今回は食事に関する「満足感」と「満腹感」について考えてみたい。

 「腹一杯食べる」ことが大多数の人を幸せにするということに異論を挟む人は少ないだろう。私たちは、基本的には「生きるために=栄養素を得るために」食事をする。たくさん食べるということはすなわちたくさんの栄養素を得ることなのだから、満腹が幸せだということは生物学的に大きな意味がある。

 一方で、私たちは冷静に「満腹=栄養的に十分満ち足りている」とは限らないことも知っておかなくてはならない。満腹するメカニズムは複雑だが、最も大きな要素は「血糖値が上がること=高カロリーのものを食べること」によると考えられている。たぬきうどんを食べても、大福を食べても満腹はする。子どもが食事の前に甘い清涼飲料水を飲むと、食事をしたがらなくなることは多くの親が経験ずみだ。

 しかし、満腹になったからといって栄養的に充足されたとは限らない。この場合(満腹はしても栄養的に満たされない場合)には、当然のことながら(栄養的に満たされようとして)すぐにまた何かを食べたくなる。満腹はしていても、体は(脳は)満足してないのだ。これが「食べ過ぎ」そして「肥満」の原因の一つだと考えられている。肝要なことは満腹ではなく満足!


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