前回は「野菜を食べるという食習慣」の重要性を書いた。かといって「野菜の栄養成分は重要ではない」ということではない。食べ物(野菜に限らず)と健康との話をする場合は、つねに「栄養」と「食習慣」という2つの側面からとらえなければならないということだ(さらには、ここではあまり触れることがないが、3つ目として「食文化」の側面も忘れてはならない)。というわけで、今回は最初に野菜の栄養素の話から始めよう。
野菜に期待する栄養成分はビタミンCと食物繊維
ビジネスパーソンの皆さんは「野菜に期待する栄養素」といえば何を思い浮かべるだろうか?「期待などしてない」という人がいたら、「野菜に含まれる栄養素って何?」といいかえてもよい。多くの人はビタミン類やミネラル類と答えるだろう。もう少し知識(興味)のある人なら「それに加えて食物繊維」というかもしれない。
正解!(もっとも、これは小学生レベルの問題といっても過言ではないが)。野菜(や果物)にはビタミン類やミネラル類、そして食物繊維が豊富に含まれている。野菜をたくさん食べれば、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維等が摂取できる。
しかし、意外に思うかもしれないが、ビタミン類やミネラル類の多くは、野菜にだけではなく、他の食品(肉類や魚類や穀類等々)にもけっこう含まれている。では、他の食品にはあまり(ほとんど)含まれてはおらず、野菜から摂取しなければならない栄養成分というのは何になるだろうか? それはビタミンCと食物繊維だ。
このうちビタミンCは、多くの日本人では不足してない栄養成分である。まれに、よっぽど野菜(や芋類)を食べない人、あるいはアレルギー等で柑橘類をいっさい食べられない人などでは、ビタミンC不足の人があるが、平均的には充分に足りている。とすると、現代日本人が、栄養的に、野菜に期待する成分というのは食物繊維だと考えてよい(あくまでも統計的な平均値での論理。つまり、多くの人はこれに当てはまるが、まれにはそうでない人もある)。