2024年7月16日(火)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年3月6日

 栄養的見地からも加熱野菜にはメリットがある。厚労省は「一日350グラム以上の野菜摂取」を目標としてあげてあるが、それに加えて「そのうち120グラム以上を緑黄色野菜で」という目標も掲げている。緑黄色野菜というのは、文字通り、緑色(ホウレンソウ、ブロッコリー、ニラ等々)や黄色(カボチャ、ニンジン等々)の野菜のことだが、この目標はさらにクリアが難しい。

 しかし、積極的に加熱野菜を食べるようにすれば何とか目標をクリアできる。その証拠に(?)、野菜の目標摂取を厳しく定めてあることの多い学校給食や病院給食では、カボチャやブロッコリーやニンジンが頻繁に登場する。逆にいえば、カボチャ・ブロッコリー・ニンジン抜きでは、集団給食は成り立たないといってよいだろう。

 加熱すると栄養的に気になること(世間ではよくいわれてることなので)があるだろう。それは「調理過程で栄養素が少なくならないのか?」という心配だ。もちろん調理によって失われる栄養素はある。最も気になるのは水溶性(水に溶け出る性質)のビタミン類(その代表がビタミンC)などだ。

 しかし、冒頭に書いたように、日本人は多くのビタミン類やミネラル類を野菜以外からも摂取しているし、ビタミンCはそもそも日本人では不足する心配があまりない。最後に残った食物繊維だが、これは、調理では壊れたり流出したりすることがないので、調理課程で減る心配はほとんどない。むしろ、調理することによって「100グラムあたりの含有量」は増える傾向にある(水分が少なくなるため)。

 というわけで、摂取量から見ても食習慣から見ても栄養素的に見ても、加熱野菜のほうが健康的に好ましいということになる。

  
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