2024年12月24日(火)

令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史

2024年4月22日

 昼の銀座のメインが女性主体のショッピングや食事であるなら、夜の銀座は男性中心のクラブやバーでの飲酒、気に入った女性との会話、交際になろう。

表通りにインバウンド客が溢れかえる一方で、クラブが軒を連ねる通りは薄寂しい(SHAUN BOTTERILL-FIFA/GETTYIMAGES)

今、なぜ、平成という時代を振り返る必要があるのか?

 新型コロナウイルスのまん延以来、とりわけ夜の銀座が低調である。夕方から夜、人通りがやけに少ない並木通り、灯が灯らない窓やネオンが目につく7〜8丁目、夜10時過ぎ、客待ちで道路にズラッと並ぶタクシーの列。すべてが遊客の減少を告げている。インバウンドの復調も日経平均株価4万円超えもほとんど関係なく、このまま夜の銀座の終わりを予想する声さえ聞こえる。

 銀座には高級クラブが50軒ほど。中級クラブやキャバクラ、ラウンジ、ガールズバー、カウンターバー、スナックなどを合わせて総計約1000軒が営業しているという。

 中級クラブのママが言う。

 「今、お金が唸っているのは美容整形病院のオーナーぐらい。それと詐欺師の幹部クラス。ある日、テレビを見ていると、逮捕された人の顔が大写しになる。どこかで見た顔だなと思っていたら、少し前、店に来た人だったり。

 店はたとえ毎日、満席になっても赤字です。家賃と女の子の人件費でおおかた持って行かれ、店に溜まらない。だから閉店やママの夜逃げが多いし、中には店を閉めたくても、店内は店を借りたときの裸の状態に戻すという決まりがあるため、その工事費が工面できず、店を畳みたくても畳めない人もいる」

 当然のことながら、銀座退潮の背景には景気の低迷がある。売り上げの女性(注・店と契約を結び、店を稼ぎ場にする自営業的ホステス)などには一晩店に詰めて自分のお客が一人も来ない、つまりその日の売り上げゼロというのも珍しくない。

 先のママが話を続ける。

 「少し前にはパチンコメーカーやパチンコチェーンの社長、デリヘルのオーナーなんかが税金で持って行かれるよりマシと、好きな女性をママに据えてクラブを開いたものです。今はそういう話もあまり聞かない。ひところ店を潤してくれた製薬会社もお医者さんの接待が面倒になってダメ、建設業界も下請けの元請け接待があったけど、これもダメ。出版社も作家の先生の接待で使ってくれたけど、今はよほど売れる漫画家でもないかぎり接待しない。だいたい交際費ゼロの会社が増えて、中堅の社員でもタクシーのチケットをろくに持たされていない。

 店にとっていいお客様っていうのは70歳から上の世代でしょうね。銀座のよさを昔通り素直に受け入れてくれる。だけど、こういう世代のお客様は年々ご病気などで足が遠のいていく。それより若い世代の人はよほど店の女性を好きになってくれないと通ってくれない。だから店の子はお客様と同伴出勤もするし、アフターにもつき合います」


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