小誌が創刊したのは、時代が昭和から平成となった直後の1989年4月20日のこと。日本経済のバブル化が進み、まさに「絶頂の時」を迎えた頃である。
以降、小誌は企業や産業界、先端技術の動向をはじめ、国の根幹をなす政治・外交のあり方などを報じることを創刊の使命とし、わが国が進むべき指針となる情報を提供してきた。
その意味で、小誌の歴史は「平成とともにあり、平成とともに歩んできた」と言っても過言ではない。
では、平成とはいったい、どんな時代だったのか。私は、昭和が「戦争」と「成長」の時代であったのに対し、平成は「災害」と今に至る「動乱」の幕開けとなる時代であったと思う。
それだけではない。政治の劣化や国家財政の悪化、日本企業の産業競争力低下や現状維持思考のまん延による経済の停滞など、令和に続く、さまざまな「宿題」を残した時代でもあった。
「失われた30年」を経て、日本は昭和時代に成功した欧米キャッチアップ型成長モデルを完全に見失い、「長期よりも短期」「明日の発展よりも今日の安定」を求め、まるで「根無し草」のように、国家の漂流が続いている。