女性中心の性理論が
行きつく先
男性にとって「銀座の女を抱く」はまだまだ勲章だろう。実態はともかくとして名前だけで構わないし、女性との相対取引で安く済むならなお結構だから、店の介入は外したくなる。それに今は会社周りや合コンなどで堅気の女性といくらでも知り合える。知り合うためだけに、わざわざ銀座で高いカネを払う必要はない。
要するに女性による性の自己裁量化意識が男性の考えを変え、夜の銀座衰退の一因になっている。一言でいうなら、女性を中心にした性倫理の変化であり、それが乱倫に結びつく局面もある。実際、銀座を離れた女性の中には梅毒6回目という強者がいる。梅毒はペニシリンによる早期治療で完治できる病気になったが、それでも6回もの罹患は不気味である。
彼女は新型コロナのまん延時から地方都市のクラブやキャバクラに出稼ぎに行き、最近は日本より稼げるという理由で韓国行きが増えている。最近、韓国の盛り場でまた流行りだした女体盛りの女体になり、客の指名で寝るのだという。そういえば、ハワイやロサンゼルス、ラスベガス、ニューヨークなどで入国拒否、強制帰国を命じられる一人旅の日本女性が増加中とニュースは伝えている。米国への出稼ぎ売春を疑われてのことである。円安が続く中、日本で稼ぐ額の2倍、3倍を稼げるなら、出稼ぎに出たくなって不思議はない。
銀座や新宿ばかりでなく、大阪でも北区のアメリカン通りでは立ちんぼが出没、この3月には大阪府警保安課が「売春目的の客待ちは違法」として女性3人を逮捕した。そのうちの1人は11カ月で約4000万円を稼いでいたという。周辺では1回1万5000円が相場だから、この女性は1日8人、1カ月240人の客を取った計算になる。事情は元銀座ホステスでも似たようなものだろう。
構造不況による夜の銀座の低調
令和の時代にどうなる?
これから夜の銀座はどうなるのだろうか。「もう底が割れている」と辛辣に腐すのは中級クラブの元店長である。
「今の高級店の中には観光名所として生き残るところがあるかも知れない。京都の祇園と同じです。何軒かある文壇バーなどはすでにして観光名所、行ってばあさんの昔話を聞いても面白くもおかしくもない。
また中級どころで乙に済まして『粋なお客様とはさり気なくチップを渡せる方です』などと御託を並べる女にはヘドが出ます。要するに欲しいのはお金、だけどその見返りは渡せないよというわけだから、バカバカしくなる。うわべだけで中身がない。やらずぶったくり。インバウンドの外国人はそんなこととっくに分かっているから銀座のクラブには行かない。新宿ゴールデン街の方を喜ぶ。
日本人でも若くてバリバリ稼いでいる男は歌舞伎町のキャバクラに行くし、ちょっと落ち着きたい人は西麻布のラウンジでしょう。素人っぽい美人に銀座は敵わない。銀座のクラブに比べて大阪北のキャバクラは豪儀ですよ。銀座と違って下ネタだってOK。ナンバーワンの子が去年秋、最後のバースデーを3日間やったけど、5億円の売り上げで2億円の税金を払ったといいます。3650万円のシャンパンタワー、ロマネコンティ1200万円。こういうスーパーナンバーワンは銀座にはいない。夜の銀座は太刀打ちできず、昭和で終わっている」
昭和でオワコンは言い過ぎだろう。平成にも生きていた。しかし令和でも生きているかといえば、たぶん生きていなさそうだ。これまで銀座を支えてきた女性、企業社会、接待文化などすべて一変してしまった。いわば銀座の低調は構造不況だから、ちょっとやそっとの手直しでは立ち直れそうにない。