2024年11月23日(土)

WEDGE REPORT

2018年2月1日

 また、日英はともに米国の重要な戦略的パートナーである。日英はそれぞれ米国と深い同盟関係で結ばれ、情報や軍事、外交などあらゆる分野で深い協力関係にある。つまり、日英が今、同盟関係に進もうとするのは歴史の偶然ではなく、地政学的な必然である。

 英国は核保有国であり、国連安保理の常任理事国であり、米国と肩を並べる最強最大の情報機関を持ち、ロイターやBBCのような世界に影響力のある報道機関があり、国際石油資本を持ち、ロイズ保険機構のような世界の保険料率を決定する機能を持ち、さらに、世界の金融センターであるシティーを持つ。日本が、このような国家と「同盟国」と呼び合える関係を築くことは極めて大きな国益である。

「正三角形」の一角として独自性を問われる日本

 ただ、そこで重要なのは、日英共にその関係を既存の米国との同盟関係とどう調和させるかという問題である。そして、それは結局、日英米の三国による同盟関係の追求に発展するだろう。それは覇権の三国同盟ではなく、新しい安全保障の枠組みとしての「平和と安定の正三角形」でなくてはならない。そこにこそ、新日英同盟の本当の意味があり、それが実現すれば、日本の国際的地位と外交力は飛躍的に向上することになるだろう。

 他方、それは日本にとって、日米同盟だけに依存してきた現状から脱し、第二次世界大戦後初めて戦略的自律を手に入れることを意味する。日本は安全保障や外交面で常に独自性を問われることになろう。

 英国はNATO、EU、英連邦など多層的に同盟を維持し、これらを使い分けながら自律を維持してきた。日本も米国、英国との「正三角形」を軸に、アジア太平洋諸国との同盟をバランス良く組み合わせ、多層的に同盟を構築、運用しなくてはならないだろう。

  
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◆Wedge2018年2月号より


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