世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月9日

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 元米国務副長官、世界銀行総裁のロバート・ゼーリックが、1月7日付けウォール・ストリート・ジャーナル紙掲載の論説で、トランプの貿易政策は敗北主義である、と述べています。論説の趣旨は以下の通りです。

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 トランプ政権は、鉄鋼とアルミの輸入を制限し、ソーラーパネル、電気洗濯機の輸入につきセーフガードを適用することを検討しているが、もっと重要なのはNAFTAと米韓貿易協定からの撤退の動きである。NAFTAではトランプが目指しているのはメキシコとの貿易赤字の解消である。米国にとって、アジア諸国との競争やエネルギーの安全保障などがより重要なのに、メキシコとの貿易収支を優先している。

 貿易収支を決めるのは経済のファンダメンタルズであって、貿易収支がファンダメンタルズを変えることはできない。

 トランプが二国間の貿易赤字解消にこだわるのは、政治的支持者を意識してのことであり、米国の競争力を強化するより、他国を非難することに関心がある経済的孤立主義者の支持に依存している。

 トランプが要求するのは公正な競争ではなく、管理貿易であり、貿易振興策ではなく、障害を高める口実である。

 中国の知的所有権侵害を非難しているのも、問題を解決しようとするよりは、保護主義の強化を正当化しようとしているのである。

 技術を管理する名目で外国投資を規制しており、これでは米国は競争力を失う。

 これらはすべて米国の撤退を意味する。

 米国は、データ、電子取引、サービス貿易などの分野で新しい貿易基準を設定する任務を放棄している。米国はかつて世界の才能を引き寄せたが、トランプの敵意は人々を追いやっている。

 真の競争者は自らの弱点を評価し、適応してより強くなる。米国を偉大にしたのはこのような資質であった。今年は貿易政策が米国を駄目にする年になるかもしれない。

出典:Robert B. Zoellick,‘Trump Courts Economic Mayhem’(Wall Street Journal, January 7, 2017)
https://www.wsj.com/articles/trump-courts-economic-mayhem-1515360407

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